皆様お元気でしょうか??
私、青木達哉はインフルエンザで寝込みました。
38〜40度の熱が4日間続き、熱冷ましを飲んでも一瞬だけ熱が下がる状態!
本気で「ヤバイぞ!俺」っとピンチになりました。
何とかは風邪を引かないと、予防接種を受けて居なかったのが悪かったのか!
更に、皆様のご支持を頂き酔心製品への注文が増え、本業がドッテンバッタンしていました。
普通に出荷するだけでも時間が掛かりそうな感じですが、更にそれに手を入れるのだから
かなり大変です(^^;でも数をこなすと、それなりに面白い事も分かったりしてフフフ!!
さて、そんな理由も重なりまして今回の特集が遅れました。←言い訳
今回の特集は、本当に色々やりたい事が山の様にあります!しっかり特集したい物は後回しにして、
今回は和包丁カスタマイズ特集です!!
今回の特集は、サビ取りの延長線上にある物で、日頃のお手入れにも順ずる事なの
で、一度お試し頂きたい作業です。更に、実際に使用する際により安全に庖丁を使用
して頂きたいとの思いで、庖丁の顎や、切っ先カスタマイズも特集しました!
先に申しあげますが、このページを全て表示させるのに、ISDN(128KB)で46秒掛かります。
写真が多いんでしょうね!すみません。
其の壱 「平のカスタマイズ」
和包丁には平の部分に名前が彫ってあります。酔心ならば「酔心青二鋼」「酔心白ニ鋼」
などが入っています。この部分には、木砥目が入っています。
木砥目とは、斜めに入っているラインの事で刃付け屋さんが、木の回転砥石に金剛砂を
付けて研ぐとラインが入ります。
この斜めライン(木砥目)と言うのは、包丁の仕上げを良くする為にあるのと、荒砥、バフ
の目を消す作用もあります。
木砥目は、悪く言えば包丁にキズを入れている感じになります。斜めに金剛砂でラインを
入れる訳ですから斜めに引っ掻いてるとも解釈出来ます!←悪い例えですけど・・。
普通の和包丁を包丁を使用する上で、汚れが付き易いのは裏表共に木砥目です。
このラインに食べ物のカスが残ったりするので不衛生な事も一つあります。
もちろん鋼系ですと、それが原因でサビが出たりしてしまい小汚い包丁になってしまいます。
■油っぽくなってたりしませんか?■
この汚れを取る為には、クレンザーで木砥目に沿ってゴシゴシするのが一番良い方法です。
もちろん常に汚れないように綺麗に洗う事で根本的な汚れからは解消されますが・・・・。
しかし!手遅れで既に汚れている場合は、クレンザーで木砥目に沿ってゴシゴシが最も最良です。
でも、下記図にあるように木砥目がある以上、何かしら汚れが溜まりやすかったりサビが気に
なります。 嫌だ!面倒だ! そんな方はいらっしゃるハズ!
左は実際の平部分、斜めに線が入ってるでしょう!右の図は、斜め線(木砥目)部分の断面です。
こんなに極端な溝はありませんが、分かりやすく大きく書きました。
知恵袋!
通常鉄は、錆びた状態にあります。錆びた状態とは、酸化鉄で酸素と結合して赤く錆びます。
右の様に凹凸があると、鋼が空気に触れる部分が増える事になります。
そこに、食べ物カスや水分が残っていると錆びに拍車を掛けます。
そこで、今回のカスタマイズ!
既に包丁が汚れている、サビが出ていると言う状況からお話します。
取り合えず、包丁を平らな場所に置いて野菜のヘタかキッチンペーパーにクレンザーを付け
木砥目に沿って斜めにゴシゴシします。これで、包丁は綺麗になります!
ここでもう一段階木砥目に関係なく立方向(包丁の顎から切っ先方向)に向かってクレンザーを付けて擦ります。
1日2日では効果は出ませんが、木砥目の凹凸を消してやるのです。木砥目の凹凸が少しでも
減れば鋼が空気に触れる面積も減り、ゴミも溜まらずにGOODな状態になります。
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ゴシゴシ画像はちょっとお待ち下さい。
現在撮影中です。
鏡面寸前?の写真も撮影中です! |
これを毎日研ぐ際に行えば、木砥目は無くなります。(時間はかなり必要ですが・・・。)
もちろん、砥石の当らない包丁裏の凹み部分にも木砥目がありますから、この部分もクレンザー
で毎日磨く癖を付けると、良いと思います。
ポイント!
裏側を磨き過ぎてしまうとあまり良くありません!汚れが溜まらない程度に留めて
下さい。何故??っと思う方もいらっしゃいますが、理由は・・・。考えてみてください!!
どうしても気になるようでしたら、メール下さい。お教えします。
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裏にも木砥目がもちろんあります。
和庖丁は、素材以前に裏が命です。
裏を錆びさせると、研いでも研いでも
刃が細かく欠けます。経験者は居る
と思います。せっかく綺麗に研いでも
裏押したら欠けた・・・。って事も!
ここもクレンザーで磨くと良いです。
ただし、手を切らない様に要注意! |
このカスタマイズの最高系は、表の平は鏡面にしてしまう事です。裏は半鏡面が理想。
ちなみに、クレンザーだけでは、鏡面にはなりません!クレンザーより細かい何かで磨くと
良いでしょう。クレンザーより細かい物??何やねん!それはホームセンターにあります。
下記の写真の様な鏡面にするには個人では無理では無いですが、極めて厳しいです。
注:初めてクレンザーなどで磨いた場合は、凹凸以上に細かく表面が荒れています。
即サビが来る可能性もありますので、油などで軽く拭いて次ぎの日に備えて下さい。
しっとりとして少しずつ落ちついてきます。
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ここまで鏡面にすると、プロが使用すれば
平はいつでも綺麗な状態を保てます。
仮に汚れるとすれば油っぽいのが上に幕
を張る程度で、簡単に洗い流せるでしょう! |
さあ、平と裏が綺麗になりました。他に何かカスタマイズする事は無いのか!
これだけじゃ特集と言えないだろう!っと言う事で!マチをカスタマイズ!
其のニ「マチを滑らかに!」
和包丁を使用する際、包丁のハンドルだけを持って作業する人は少ないでしょう!
出刃などで叩く場合はハンドルだけをしっかり持って叩く事くらいかな?
ほとんどの使用方法は、包丁のマチ部分に指を入れて使用します。
まあ必要ないカスタマイズですが、マチが荒れている場合があります。
これは、鍛冶屋さんでマチを荒いグラインダーで削る為に起こる事です。
調理師さんの手は、濡れていて皮膚もデリケートな状態です。そんな時、マチが荒れ
ていると、指が痛くなったりします。さらに、平カスタマイズでも書いたように、
荒いので汚れたり、サビが出たりしている可能性もあります。
そこで、マチを磨いてみましょう!
上記に示したように、マチの部分は鍛冶屋さんで仕上げます。研ぎ屋さんはマチ磨き指定
をしない限り触りません。(鍛冶屋から上がったまま!)
手の入れる鍛冶屋さんは、グラインダーの後で手で目の細かいヤスリで擦ります。
土井さんの工場は、全て手で磨いています。だから一日に10本程しか製造出来ないと言う
事もあります。
現代の鍛冶屋さんは、グラインダーで擦ったままの物も多いので、調理師さんが自分で滑ら
かに仕上げるのをお薦めします。ちなみにマチ磨きの工賃価格を申し上げますと上代で、
3000円位します。 その代わり鏡面でピカピカで手当たりも滑らかで良い感触ですよ!
マズ必要な物は、細かいヤスリです。これはホームセンターで500円程で手に入ります。
本来ならば3本位(荒中細)あればより美しく仕上がりますが、誰だって安く上げたいので、
中か細目を用意しましょう! ちなみに金属用のヤスリを買って下さい。金属用のヤスリ
は、引く時に削れるのではなく押す時に削られます!
更に、平らなヤスリでなく、丸(円すい)のヤスリを使用するとマチの微妙なカーブに当り
良い感じになりますよ!
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左の画像のようなヤスリが理想です。
半丸のヤスリか円錐のヤスリをお求め下さい。ホームセンターで500円程! |
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平たい部分庖丁を置き、マチの角を取るように磨きます。
この時、細めと荒めがあれば綺麗に仕上がります。
荒いままにすると錆びが出たり逆に痛い場合もあります。
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加工前
マチ部分が少し角っぽくなっています。
これは酔心の安来鋼ランクで最も安いランクの和庖丁です。 |
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加工後
これをヤスリで磨くと角が取れます。
ちなみに酔心白二鋼、酔心青二鋼は角が取れています。
土井さんの白二鋼は、角っぽいけど痛く無いんです!
手が込んでますからね! |
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ほとんどの人はこの様に柳刃を持つハズです。
その時、マチ角が丸いと良い感じでしょ!! |
其の三「顎を落としてしまおう」
忙しい調理場で手を切ると言うのは、痛いし仕事にならないし、テンション下がるし嫌な
ものです。調理場では、常に包丁を持っていません!もちろん盛りつけなどで包丁をまな板
に置いたりもします。その包丁を次ぎに使う時に柄を掴みに行って一番恐いのは、顎部分!
包丁の顎もろとも握って、人指し指を切る事もあります。
そんな時は、顎の角を落としてしまいましょう!この落とし方ですが、自分がカッコ良いと
思うように落として下さい(笑)
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プロの調理師さんならば経験があるかも知れませんが、メチャクチャ忙しくなった時、庖丁を掴みに行って手を庖丁の顎で切る事ってありませんか?忙しいのに、手を切るし痛いし早く調理しなくては駄目だし
左写真のように取りに行くと結構危険です。 |
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加工前
左写真の様に、顎は尖っています。切ると言うより刺さるイメージが良いかと思います。これをなんとか克服したい! |
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加工後
簡単な事で、顎を落としてしまいます。
僕は、丸く仕上げました!コレだと刺さる心配もありません。
しかし、刃を握りに行くと切れるかも知れません。
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通常庖丁は握っただけでは切れない物です。引くか押すかしないと、切れ込んで行かない。
やっぱり、顎で手を怪我する時は顎が指に刺さっているんでしょうね!
ちなみに、体験談ですがINOX本焼和庖丁を天然砥石で究極に刃付けした時、握っただけで
手が切れました・・・・。切り裂かれた?切り開かれた感じでしたが、切り口が綺麗だったので
スグ治りましたが、頭を洗うのに苦労しました。(強く握ると切れる例ですね!) |
其の四「切っ先も落としてしまえ!」
切っ先も危ない部分の一つですし、曲がったり欠けたりしやすい部分でもあります。
欠けでも良いんですが、変に欠けると治すのが大変なのと、欠けたのが食べ物の中に入ったら
恐いですよね! ちなみに包丁が小さく欠けますよね!その欠けは食べ物の中に入っている?
っと言う意見もあります。これはまな板に残る事もありますけど・・・。
話は戻って、「切っ先を落としたら使えないやん!イカとかは、どうするねん!」
落とし方にも一工夫してみましょう。単純に切っ先を飛ばしてしまうのも楽で良いでしょうが、
カッコ良くしたので、僕なりに考えてみました。
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顎でもご紹介したように、刺さる可能性が一番高いと言う事で、
切っ先も落とす事も紹介します。顎の様に丸くしてしまうのが
得策ですが、それじゃあ、切っ先が死んでしまう!! |
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僕は背中から切っ先を落としました。画像で見えますか?
横一線に落とすのではなく、背中から刃先に向かって斜めに
落としました。この角度が重要で、鋭角にすると先を落とした
意味が薄れて尖ってしまいます。鈍角にするとカッコ悪くなる
かも・・・。切っ先を使えて危なく無い角度に設定して下さい。 |
この切っ先カスタマイズは、手などを突かない為の物です。
切っ先の刃厚を厚くすれば欠けたりする事は防げます。上記に欠けたら食べ物の中に・・・・。
っと書きましたが、切っ先をやはり尖らせたい!でも欠けるのはヤダっと言う方は、切っ先の
厚みを厚く設定してみて下ださい。
方法は、一度切っ先を落としてから、もう一度切っ先を作り(研ぎ)に行くと多少厚くなるのでは
ないでしょうか!
おまけ特集!
庖丁カスタマイズの際、なんらかのエラーで会社にあった240mm柳刃安来鋼を使用しました。
どうせなら綺麗に研いであげようと研いでいて、ハマグリなんかも作っちゃったりしてみたのですが、
庖丁の裏押しの時、砥石に対して直角に当てて裏を押します(研ぎます)これは正解なのですが、
切っ先部分の裏押しは、砥石に対して平行???庖丁を砥石と同じ方向にして研ぎます。
通常裏押し時は、砥石と庖丁の角度が90度ですよね!それを先の部分だけは、10度くらいに
して研ぎます。 これは僕のこだわり??なのですが、裏の帽子部分を美しく仕上げる時に有効
です。下記写真の様に、庖丁先の裏を一枚にしてあげる!必要あるのか無いのかは別として、
綺麗だと思いませんか?
これを行う場合、前々から申し上げてる様に研ぎたい部分の真裏を押さえて研ぎます。
買ったばかりの庖丁は先がダレている場合と、峰側に凹みがある場合が多いです。
そんな時は、砥石の当たって居ない部分の裏を押さえてグングン研いで下さい。
研いで⇒見る⇒研いで⇒見る!この繰り返しで、今自分がドコを研いだのかが解ります!
(仕上げ砥で裏を当てた場合、研げた部分はピッカっと光ります!)
興味があれば試してください。ちょっと庖丁がカッコ良く感じますよ!見えない部分のお洒落ですね!
とりあえず今回は、其の四までにします。来月は、東京出張などが重なるので更新が遅れる
かも知れません。待って下さってる方には、申し訳ないのですが、本業もバタバタしている
ので、すみません。
来月は其の五「包丁の形状を戻す!」です。来月号は絶対に時間が掛かる特集で、内容も濃く
なるので、一項目だけになります。
通常営業時間内にWeb製作だけに時間を裂ければ良いのですが、色々業務が関わるので、
この特集製作は夜中になっています。でも、実際に業務をしているからこそ、こんな特集が
ドンドン出来たり。机の上だけの情報にとらわれないマニアックな情報??(笑)を提供出来
るんやなぁ〜っと思っています。
今回の4つのカスタマイズですが、其の一、其の三、其の四が大変実践的なカスタマイズです。
すでに、行っている人もいると思いますが、知らなかった人は納得の上、試して下さい。
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