2005年1月期

あけましておめでとうございます。
本年も酔心特集を宜しくお願い致します。

ちょっと営業です。今年は墨流しや特殊鋼(詳細はマダ秘密)などを頑張って確立させようと
思っています。酔心WebのTopに墨流しの写真を掲載しました。既に数本は販売可能な状態
まで来ていますので、興味のある方は是非チェックして下ださい。

和包丁の中子って!

昨年12月中旬に土井敬次郎さんと包丁中子の話になりました。
包丁は切れる部分が良ければ、その機能をクリアするわけですが、
それだけでは、和包丁を語れないのではないでしょうか。

中子とは、和包丁の柄内部に挿している部分です。
これはバランスを保つ為に重要な部分で、頭(刃)の部分によって長さや厚み(重量)が変わります。
包丁を買う際に同じサイズの包丁を持って手に馴染む包丁は、柄の太さ等にも左右されますが、
頭と中子のバランスと柄の太さ!そして総重量などで判断されるのかも知れません。

目に見えない部分の中子について少しですが調べてみました。
下記写真を見て頂ければ、解ると思いますが昔ながらの製法で作られた包丁の中子は非常に大きく
厚いです。また、現在の量産方向にある中子は薄っぺらい感じです。

これは包丁の頭(刃)の部分にある程度比例して厚みなどが変化していました。
300mmと240mmとは、中子の厚みや長さが変わっています。
中子が薄い量産方向の包丁は、包丁の頭も薄く少々頼りない感じです。

中子自体の幅は量産型の方が広いです。 厚みは、圧倒的に土井さんの勝ち!これが
良いバランスを与えます。しっくりくる重さ!


本当ならば、この中子を切って重量を測ってみたいのですが、
酔心倶楽部会員様への特別アウトレット販売に使用したいので置いときます!
写真の白二鋼(土井作)はアウトレットで出ます。切っ先のアイケです!
注:酔心倶楽部会員はインターネット内の会員様です。

話は戻って、昔ながらの包丁は手作業で裁断されています。
量産型は機械でバンっと抜かれています。その証拠がマチに現れています。
しかし、腕の良い職人さんでも機械でバンっと抜く事がありますので、
写真のようにマチがダレているのが良く無い?量産型とも言い難いです。

 マチがダレているのが解るでしょうか?赤い○で囲んだ部分が比べて欲しい部分です。土井さんの包丁はマチを手でヤスリをかけて居るのでシャッキっとしています。人によっては、この部分が無い方が手に優しいと言われます。疾風関係はマチ磨きでこの形状を生かしながら、手に優しい仕上げになっています。

上が土井さん仕上げの包丁
下が量産型の包丁です。

酔心的に包丁を挿げて仕立てるのは量産型の方が早く柄に入りますし柄の割れ等が非常に少ない為に効率
良く包丁を仕上げる事ができます。昔ながらの包丁は中子が厚い為に時間が掛かります。
特に疾風などは黒檀の為非常に時間が掛かりますが、挿げれば何とも言い難いバランスになります。
彩にしても同じです。時間を掛けて製作した物は不思議と愛着が湧いて売りたくない衝動に駈られます。(笑)

土井さんや腕の良い職人さんが魂を込めて造った包丁には中子に刻印が入ってます。伝統工芸師の刻印を打っている職人さんも居ます。○伝工で番号が入ってます。
疾風などは、刻印を上に上げてもらっていますので酔心青二鋼◇っとなってます。

見えない部分に職人さんの証明が入っています。包丁が柄から抜けたりした時があれ
ば、一度確認してみて下さい。鋼の場合は錆びていて確認出来ないかも知れませんが
もしかしたら、見れるかも!! 職人さんの名前が入っている物もあります!

和包丁は中子にもこだわりを持って製造して行く必要がありそうです。
昔ながらの製法で造り続ける事が出来れば問題無いのかも知れませんが、そういった職人さんが減っている
のが現状です。変な話、柄を黒檀などの重量感ある物にすれば良いのかも知れませんが高価になるのと結局
包丁中子の芯が通っていないので、頼りない感じになるかと思っています。

簡単な発想では、柄の中に比重の高いタングステン(無毒、無害)の物を入れて強引にバランスを取るのも
楽しいかも知れませんが・・・和包丁がサイボーグ的になりそうなので・・・。

個人的に気持ちいいのは、包丁本体の延長線上で握る事かと思っています。
操作感があると感じでしょうか。手の中に包丁本体の一部が入っている感覚です。
手に馴染む・・。これまた奥深い世界です。


洋包丁の中子って?


包丁本体の延長線上と言う話で最も具体的な物は洋包丁です。
現在、衛生的な面から挿し込み式のプラスチック柄が存在します。
従来通りの物は、木柄で挟んで鋲でカシメています。木柄で挟んでいる部分には
包丁の延長線上にある中子と呼べる部分があります。 挿し込み式の洋包丁を以前数本
触りましたが、何と言えば良いのか頭でっかちな感じがしました。
悪く言えば玩具のような感じです。これを製造しているメーカーさんには悪いのですが
衛生面にこだわる事で、バランスなどの使用感が抜けてしまったような印象です。

木柄(合板)の洋包丁柄。左下が刃でその延長
が柄の中心に来ています。包丁を握っている
感覚と操作感を与えてくれるのでは!!
プラスチック柄の洋包丁柄です。これは木柄
をプラに変えただけなので刃の延長が柄の
中心に来ています。ちなみに酔心では販売
していません!! サンプル的な物です。

しかし、挟む方法にもデメリットがあり隙間にゴミが溜まってみたり、そこからサビが
薄っすら出たりします。これを解消するにはやっぱり挿し込み式(一体成形)の物が良い
と思います。今回は中子やバランスを意識していますので、バランスを重視します。

和包丁は主に頭に重心を置きますが、洋包丁はどちらかと言えば後ろ重心の方が使い良い
と思っています。理由は切り方にあります。
酔心でも後ろ重心洋包丁の実験が進んでいます。まだ決着していない事もあるので完成に
はマダマダ先になりそうですが、かなり気持ち良い包丁が出来そうです。

全貌を明らかには出来ませんが、現在個人的に「これは!」っと
思っている柄です。ブレードを挟み込む方向ですが、口金は溶接
仕様で柄に水分やゴミが入りにくくする設定と、後ろ重心にする為
のバランサーがあります。
木柄は収縮するので新しい素材を考えています。黒色の柄も良い
ですが、ちょっとカッコ良い色にしようと思っています。
ブレードは・・・。ふふふ〜〜マダマダ思考中です!
ただ、研ぎに関しては完全ハマグリ刃仕様の両刃が良いかと。
完成が何時になるか・・。徐々に情報公開しますので楽しみに!

後ろに重心がある感じなのに、頭に重心がある(笑)←意味不明ですねぇ(^^;

なにわともあれ、包丁は頭だけではなく中子も充分な意味があり、手の延長になる大切な
部分であると言う事です。 何か上手く表現出来ませんがご理解頂けるでしょうか?
先月のハマグリに比べると小さな特集ですが、今年も良い情報や楽しい情報を配信いたしますので
宜しくお願い致します。

価格改正のお知らせ。
各メーカーのWebを数件徘徊しましたが、既に価格改正がされていました。
現在の所、酔心Web内では価格改正前の価格を表示しています。
インターネット内では2005年2月1日から価格改正を致します。
同じ商品の価格が上がるダケなんて「なんでやねん!」っとなりそうですが、鉄の価格が上がった為で
それに準じて価格が改正されています。 酔心では、同じ製品を価格改正するのではなく少しの改良を
加えて多少ですがグレードUPを図っています! 
良い品質の包丁を販売して行きますので、どうぞ宜しくお願い致します。

 


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