8月期
 

更新が大変遅くなりました。なんだかんだ忙しくて、バタバタして居りました。
お盆休みも息抜きに釣りに行きましたが、自宅にいる時はPCとにらめっこ
していました。 それで思ったのが目に優しいホームページ(^^)b

今回は、包丁にあるエクボのお話です。
包丁を買って、中砥で研ぎを入れると決まって砥石が当たらない場所が出て
きます。これは何でなんだ?どうしてここだけ当たらないのだ?っと思っていた
方も多く居られると思います。

包丁にある謎のえくぼ!!

新品の包丁を本刃付けすると、必ずアゴから少し上の切り刃に凹みが出ます。
「これ!なんやねん!」っと思うでしょう。これは、恐らく他メーカーの包丁にも
同じ現象が起こると思います。
メーカーへ本刃付け仕様で発注された場合は、この凹みはありません。っと言うか、
本刃付け仕様で発注して切り刃に凹みがあると言う事は、本刃付けが出来て無いと
個人的に考えます。

この凹みですが、切れ味には何も影響しないと思います。研ぐ度に少しずつ中砥で
研いで消せば良いでしょうが、まあ〜切り刃を一枚した方が気持ち良いと!
では、この凹みは何故に出来るのだ?っと思うかも知れませんので、これを案内!

霞んでいる部分は砥石が当たった部分
シノギ筋らへんに当たってない部分が。

この凹みは刃付け屋さんで出来ます。皆さん動画でご存知だと思いますが、縦に
回る水砥石、バフ、木砥(木戸)で研ぎ、仕上げて行きます。
皆さんがお持ちの荒砥や中砥で研いで仕上げる事はマズ無いと思います。
(もし、小砥石で研いだとすれば生産が追いつかないでしょう・・・。)

土井シリーズ刃付け屋工程

この凹みは回転砥石が原因です。下記写真を見て頂ければ解ると思いますが、包丁
を研ぐ際に砥石の円形部分が包丁に当っています。
包丁と砥石の接地面は、面ではなく点に近い感じで当っています。
この点で研いで行くと言う事が今回の凹みと大きく関係があります。

簡易水砥機です。
こんな感じで研いで行きます。
本当は少し違いますので、詳しくは、
土井さんのWebで工程をご覧下さい。
平面を研ぐのに円形の砥石で研ぐので、実際に研いで行くには面ではなく
点で研いで行く感じ。

土井さんのページで研ぎ屋さんの工程&動画がありますが、縦研ぎ、横研ぎを繰り返
して平面を作って行きます。研ぐ際には包丁を上下、右左に動かして行きますが、研ぎ
終わり(例えばアゴ付近や切っ先付近)で一瞬でも包丁を動かす手が止まります。
この時に凹みが出来てしまうのです。

工場で回っている荒砥やバフなどは、かなり速い速度で回っています。
会社へ入りたての頃、回っている砥石を触ってみましたが、指先がエグレました(泣)
かなり効率良く研げる様に業務用として焼いている砥石なので、その研削力は恐ろしい
です。触ってみたと言いますが、PCでEnterキーを押す程度のポンっと言う感じで
指先がエグレるのですから相当な物ですね・・・。

顎部分も少しだれています。
この様に砥石から包丁を放す際に、
顎部分のみ研げ過ぎた為に、その部分が中砥に当たらないと言う現象が起きます。

それほどに研削力があるので、一瞬でも止まればその部分だけが研げ過ぎて凹みが出る
のです。「そんなん!ちゃんとフラットにしてくれれば良いのに・・・」っと思うかも
知れませんが、もし職人さんに全部フラットで!っとお願いすれば、かなり高い工賃を
払うか、拒否されるかです(^^;

酔心で新品の包丁を本刃付けするのに1時間程必要ですから24時間寝ないで働いたと
しても24本しか出来ない・・・。仕事としては非常に厳しいですし(^^;
24時間も集中して研ぎ続けれるかも問題ですね・・・。
ベタ研ぎならば、機械でガ〜っと研げば良いですが、ハマグリも作りたいとなると・・。

補足:平面にするとバリバリに欠けると思います。力の無い刃って事でしょうか。

物理的に?刃先を平面にしようと思えば、平面機械砥石かサンドペーパーで研げば
確実に平面になります。ベルトコンベア−のような砥石を作れば良いのです。
メチャクチャ長い砥石を作れば!! 面直しとかが大変そうですが(笑)
会社に面白い天然砥石(日照山の原石)があるので写真を載せておきます!!

この砥石を分割して製品になるそうで・・。取り数が上手く取れないサイズだと言う事で
砥石屋さんのご好意により分けて頂きました。


話が飛びましたが、この凹みは刃付け製作上に付いてしまう物です。

この凹みは刃付け職人さんによって深さや大きさが変わります。
上手な職人さんはこの凹みが少なく、楽では無いですが取りやすい感じを受けます。
土井さんのページでご紹介している刃研ぎ屋さんの仕事はGOODです。
全然凹みが無いと言えば嘘になりますが、取りやすい感じがしています。


それで!この凹みが嫌だと言う方は、メーカーに本刃付け仕様で!っと発注する事を
お薦めします。何かしら工賃(加工代金)は必要ですが、新しい包丁を気持ち良く使えます。

もしも、自分の手で綺麗に仕上げたいと言うならば、買う際に切り刃を透かして見る事!
アゴより少し上に凹みが無いかチェックする事で自分で研ぐ時に楽です!!!
全然凹みが無い包丁なんてのは無いので、多少の妥協はしましょう・・・(^^;

選ぶ時に、凹みを見る事も重要ですが、歪みや裏の比などを見て下さい。
切り刃の凹みは研いで取る事が出来ますが、裏の比や歪みは取れないので・・・。
それらがクリアした包丁で選ぶ時に凹みチェックをして下さい!!

今回、5本のアイケ包丁を特集の為に研ぎました。
包丁の素材は、白二鋼で研ぎが改良霞研ぎです。
なんで白二鋼を改良霞研ぎにしたんだ??ってなりますが、超量産型の包丁で地の価格
からしても相当安い仕入れだったみたいです。過去に仕入れた物だったようで・・・。
研いで思ったのですが、相当研ぎ易い(スカスカで柔らかい!)包丁です。
もちろん、切れ味を評価するには値しませんが・・・。

今回の研ぎで思ったのが、鍛冶屋も重要だが刃付け屋も重要だと言う事。
鉄板を削ったような研ぎで、裏も表もボコボコでした。酔心特集で色々と紹介している
良い包丁とは全く正反対の包丁ですね・・・。
一日に50本100本砥ごうと思えば、そんな事気にしてられないんでしょうね(^^;


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