2月期


寒波襲来の2月1日午前1:12。寒さゆえ、ストーブに暖められながらの特集です。
この冬一番の寒さ・・・。寒気が来る前には何時もTVでアナウンサーが言いますが、
何回目の一番なのだろう・・・。さて、今回は十六層関係の特集です。
今年は、十六層を一押しで行きたいな!っと思い。色々と調べてみました。
見た目だけ綺麗な物と言われている十六層のメリット、デメリットをご紹介デス。

先丸蛸引(銀線入黒檀柄)酔心夢工房製 300mm柳刃(黒檀柄仕様)標準仕様

十六層墨流しの魅力

新しい素材に手を出そうかと思いつつ、伝統的な物にも惹かれて居るので2005年の走り出し
として十六層墨流しに手を染めてみました。
一般的に美しさや持つ者の自己満足と言われていますが、果たしてそれだけなのでしょうか?
言い方が悪いかも知れませんが、切る部分は鋼です。軟鉄は鋼を支えてる事や、衝撃を吸収
させる事、研ぎの面で本焼よりも研ぎ易くしてあると言う感じです。本来ならば、切る部分だけ鋼
でその他は研ぎの事を考える鍛造の方がよっぽど理に適っていると言えます。

では、本焼は何故に魅力があるのでしょうか?
しっかり叩く為に粘りが出て長く切れると言う点と、硬い為に鋭い切れ味が出ると言う点が一番
だと思います。しかし、逆にデメリットも発生します。研ぐ際に時間が必要な事や、神経を使うと
言う事です。以前特集しましたが、鳴く事もあります。

研ぎが幾分楽に行えて、本焼並の硬さを兼ね揃えた物と言うのあっても良いと思いませんか? それが墨流しです。製造方式としては鍛造方式で軟鉄部分を鋼+軟鉄で鍛造し折り重ねて層を
作ります。十六層の場合は八回折り重ねる事になります。8×2=16!
12回折り重ねると24層になります。←偶にありますが超高価!!
(折り重ねるとありますが、切断して上に乗せて行く方法が主流のようです。)

訂正箇所 十六層の場合は八回折り重ねる事になります。8×2=16!

二枚の鋼材を折り重ねると、三層になります。
折り重なった部分が同一の素材になりますので、単純に8×2=16は間違いでした。
一回で三層、二回で五層、三回で九層、四回で十七層になる計算です。
一番上を剥ぎ取ったとして十六層になると言う感じでしょうか。

折り重ねると言う作業を行わないのならば8回の鍛造を行うと言う事になります。
霞の包丁を8丁作ってそれらを鍛接する方法もあると思います。
詳しくは教えてくれなかった職人さんも居ますので(^^;

層を作る考え方(方法)を勘違いしていました。
大変申し訳ございませんでした。

今後この様な事が無いよう厳重にチェックし更新させて頂きます。
また、他の箇所でも勘違いや、誤字による意味不明な表現を探し
修正訂正させて頂きます。もし訂正箇所が発見された場合は、
酔心トップページに訂正箇所のお知らせと訂正内容を今回の様に
追加させて頂きます。

2006/01/26 青木達哉


極端な話、8丁分の鍛造が行われた物を軟鉄として使用し、鋼と鍛造します。
この部分は、4丁分の鍛造が正しい表現になると思います。
考えただけでも硬そうです。更に、叩きまくっているので使用中の歪みも少なくシャキっとした包丁になりますし、ずっしりとした心地よい重量感も得る事ができます。
研ぎに関しても全鋼型の本焼と違い多少軟鉄が入って居る為に研ぎ易いと言えます。
本焼よりも研ぎ易く霞(鍛造)よりも研ぎにくいと言う感じでしょうか!

正確な事は言えませんが、本焼にせよ鍛造にせよ16層にせよ鋼の硬度は大きく変わらないと思います。多少の差がありますが、数値にして1〜2HRCかもデス何故にそんな事を言うかですか、本焼きなどは硬くし過ぎると研ぐのが大変になりますし、欠けたりする可能性があります。硬くても63HRCでしょう。鍛造で62HRC程度です。では、何故に硬さが大きく違うように感じるのか!ですが粘りによって硬く感じると言う点にあります。

粘り硬いのと単に硬いのでは、全く別物です。
どちらが良いかと言うと粘り硬い方が、包丁には向いています。
INOX本焼などは粘り硬いと言うのに相応しい包丁です。それゆえに長く切れます。

十六層が硬い感じがするのは、恐らく持った感触とシャンっとした刃によって
そう感じるのかも知れません。本焼と同じ、もしくは本焼より硬い事はありません。
鍛造と同じような感覚で本焼のようなシャンとした包丁であると解釈してください。

話を戻して、十六層は見た目だけでは無く鍛造と本焼の間と言う事と、心地よい重量感を得れる事、研ぎ易さと鋭さ、叩く事で生まれる粘り強さにあります。
これは今回酔心がお願いした職人さんの腕を考慮して粘りや硬度を話ししています。
全ての16層墨流しが同じ物と言うわけでは無いので了承下さい。


十六層はサビに弱い・・・。
機能的で美しい十六層ですが、軟鉄を霞ませている為に多少軟鉄部分がサビに弱いような感じをずっと受けていました。しかし、アンケートなどから得た情報では、包丁を磨く傾向にある方(クレンザーなどで磨く+耐水ペ‐パー)には、問題無いと思います。
今回アウトレット物で十六層が1丁あったので、サビ取りしてみましたが、中々滑らかで良い感じになりました。カスタマイズ精神に溢れた方ならば??全然問題なさそうです。
逆に、手入れが面倒だ!っと言う方にはお勧め出来ない種類の包丁です。(鋼の場合)


十六層は何故に高いのか?
ハッキリ言って手間が掛かるからです。上記にご紹介したように鍛造の嵐で製造されていきます。ナイフマガジンなどに載っている最初から層を持った軟鉄を買えば問題ないですが、しかしそれは機械で作られたもの!ナイフは美しさを重視しますからある程度規則的な模様が好まれるのかな? ちょっと興味深々です。
しかし堺の職人が手でバシバシ打った物とは全く別物になりますし、締まりも全然違うと思っています。(近い将来、一度ナイフ用の軟鉄(16層)買ってみようかと思っています。)
手間の掛かる包丁だけに良い刃付けを行いますし、柄も黒檀などになってきます。
そんな事から高価な物になります。しかし、持つ価値はあります!!!

十六層の見極め!
現物を見た事があったり、実際に使用している方は見慣れているので問題ないでしょうが始めて現物を見たりする方は、墨流しの模様などに気を取られたりする事があるかも知れませんが、
包丁本体の造りをしっかり見る必要があります。
どれだけシャキっとしていると言えども、歪みは出ます。
購入される時には、普通の包丁と同じように裏を透かしてみたり切り刃の状態を見る事が重要です。 十六層で良く見るのが、刃の出具合が悪い物です。
手造り故にそういう事もありますが、刃がしっかり出ている物を選ぶ事をお勧めします。

十六層のカスタマイズ!
鋼は硬いので光ります。地金(軟鉄)は霞みます。このコントラストが美しいのですが、鋼部分を猛烈に光らせるとカッコ良くなります。光らせ方ですが、以前ご紹介した耐水ペーパーで磨き、青棒で磨くと鋼部分がピカピカになります。
それと同時に軟鉄部分も微妙に鈍い光沢が生まれて、サビに多少強くなります。
この磨く部分は、主に平部分になります。切り刃部分は研ぎますから細かい砥石で研ぐと必然的に光ります!!

酔心夢工房では、2005年上半期を十六層をメインに押し出そうと思っています。
と同時に新しい素材にも手を出して行きます。ZDP189も興味深いですが、また新しい素材
があるようなので、そちらへ行ってみようかと思っています。ZDPがかなり高価になると言う事もありますし・・・。調理師さんが現実的に購入できる金額に収まればと思っています。やはり15万円20万円は辛いですし!!安くしようとすると、それなりに程度の低い仕上げになってしまいますしね!!ハハハ(^^;ハハハ


さあ真実を追求しよう!

過去に酔心夢工房研究所なる物があったのですが、その時の野望を実現できる時が来ました。
特集の中でも、叩いて締まった包丁は良い!っと散々言ってきましたが、職人さんによって
誤差があるので正確な事としては立証されていませんでした。
本当に叩いた包丁が良いのかを調べる為には、同じ鍛冶屋さんに叩いた包丁と叩かない包丁
を製作して頂いて、調べるのが最も良いかと思い、土井逸夫さんにお願いして白二鋼で製作
して頂きました。 1丁は従来通り土井さんの工場に伝わる製造方法でもう1丁は出来るだけ
叩かないで作った包丁です。 同じ鋼、同じ地金、同じ炉で、同じ鍛冶屋さんで作った2つの
包丁・・・。さて、どうなるのか!!

上が叩いた包丁、下が叩いていない包丁です。

包丁の為には、最高1年間ほど寝かせてから刃を付けるのが良いと言われています。
しかし、1年間も寝かせる訳にも行かないので、半年〜3ヶ月程度で刃付けへ行こうと思って
います。1年も寝かせている包丁と言えば現在持っている270mm疾風の地と300mm疾風の地です!
一般的なラインの包丁は、3ヶ月程で研ぎに出て行きます。

専用のページを新しく特集内に製作する予定ですので、じっくり更新されるのを見守って下さい。

@鍛冶屋さんの製作時の意見
A数ヶ月置いた場合の状態
B刃付屋さんの研ぎ時の意見
C刃付け後、しばらく置いた状態
D銘切りの際のタガネの入り具合
E柄付け後の小刃合わせでの切れ味
F実際に仕様してみての切れ味持続状態
G本刃付けの加工性
H本刃付け後の切れ味持続状態及び刃の強さ
I使用時のサビの出方など!

簡単に上記I項目をノンビリと調べて行こうと思います。
もしかすると、モニターとして調理師さんを募集するかも知れません。
包丁は一応返却と言う形になりますが、その際はご協力お願い致します。
やっぱり、現場で使用してのインプレッションが最重要ですからね!
1年掛かりの実験になりそうですが、楽しみにしていてください。

特集TOPへ