2004年4月期

和包丁カスタマイズ其の五

さて、桜も咲きようやく春めいてきた今日この頃いかがお過ごしでしょうか?
前回カスタマイズから、一回飛んでの続カスタマイズです。
前回のカスタマイズはお試し頂けたでしょうか?
切っ先と顎を落とす位ならば、以外に早く出来るのでマダの方はお試し下さい。

さて今月のカスタマイズは前回の続編で其の五です。
皆さんの包丁がもしも下記写真の様になっていたら是非試して頂きたいです。
これは、カスタマイズと言うよりもRenewal?リフレッシュの部分です。

以前からずっと気になっていた部分の特集なのですが下記の写真、柳刃の研ぎです。
何故こんな形になってしまうのか・・・!それは、良く使う部分だけを研ぐから形が変わります。
「切る所だけ研げばエエやん!そもそも忙しくてそれ以外は研いでられん!」っと言う方も居ると
思います。それは一つの意見と受け止めて、もしかしたら気になって居たけどキッカケが無かった
、修復方法が解らない、そんな方の為に修復する為の方法を特集します。
上が新品の包丁です、下が今回カスタマイズする包丁です。 カスタマイズする包丁のアップ!

前回の特集で使用した240mm柳刃を必死で研いで、変な形にしました。手がハマって来た
ので、変な形にするのが大変でしたが・・・(^^; 修理や型直しに来る包丁はこれ以上に先が
変な形になっています。特集をご覧の方の包丁はどうですか?こんな感じですか?

これを一気に治すのには荒砥石が絶対必要です。中砥だけで治すのは・・・無謀でしょう(笑)
修復方法スタート!

写真は極端ですが、これくらいの勢いで
一気に形を整えます。
左の方法に抵抗がある方は上記写真
の様に切っ先だけを必死に研ぐのも
良いでしょう。
これは左の写真を逆側から
撮ったものです。

下記写真の様に、刃が厚くなるのを覚悟で立てて研ぎます。とにかく研いで切っ先部分(反り部分)
を新しく製作します。この時は、切っ先部分だけを重点的に研いで下さい。他の部分を触ると、
修復時間が2倍3倍に膨らみます。
刃先のラインは、包丁の中腹らへんに合わせます。
元々存在するラインに切っ先を合わせるようにして下さい。

切っ先のみをひたすら研ぐ方法は、ある意味均一に薄くなるので後々薄く研ぐ時に楽かも!
しかし、全然変化が見られない作業を30分程続けると嫌になり兼ねないので・・・。

強引に形を修正した図 治した包丁裏側 表から見た図。切っ先に鋼が出て居ない。

それが出来たら次に、シノギ筋を作りに行きます。切っ先部分や反り部分を作るとシノギ筋が変な
所に通ります。(今まで研いでなかったので均等に減ってないからです!)
カッコ良くするには、シノギもちゃんと作ってあげなくては駄目です!方法は、下記の写真の様に、
荒砥で、シノギ筋を作りたい部分の裏をしっかり押さえながら研いで行きます。刃先部分は研がな
い様に注意!研いでる最中の感覚としては、「こんなにゴリゴリ研いで大丈夫か?」な感じです。
刃先の反りに沿ってシノギ筋を付けたいので、シノギ筋にも反り(カーブ)を付けます。

シノギ筋を作りに行く際の指位置!この指の下が重点的に研げます。
違和感があるかも知れませんが、研いでいる位置を確認しながら研ぐ
事で、自分がドコを研いだのかを理解し少しずつ違和感がなくなります。
ん〜安心感が出てくると言う表現が合うかも知れません!
好みのシノギ筋を作って下さい。

これが一番難しい部分です!この作業が出来れば反り部分の研ぎは完璧に近くなります。
現在ある包丁のシノギから、徐々に切っ先方向へ研いで行きます。

切っ先部分のシノギ筋事態そもそも無い部分を作りにいきますので、それなりに抵抗がありますが、
ドンドン研ぎましょう!失敗しないコツは、ガーガー研いでドコを研いだか確認する事!
2〜3分も包丁を砥石に当てたままで、研ぎ続けると、仮に研がなくてはダメな部分が研げて
居なかったら、治すのにまた時間が必要になります。
5回砥石を往復したら、ドコを研いだか確認する事で、それが防げます!

この状態から、シノギ筋を上げに行きます。
シノギ筋を顎から見た状態。
酔心の文字部分までシノギを上げてみました。

カーブ部分を作る時は、包丁柄を持つ手を少し上げます。これでカーブ部分に砥石が当たって研げます。
手を上げないとまた、切っ先が変な形に逆戻りしますので慎重に行って下さい。

ワンポイント!手を上げると言うよりは、柄を持つ手の脇を広げる感覚です。

切っ先部分(シノギも含む)を研ぐ際、指の位置と角度! 切っ先以外(シノギも含む)を研ぐ際、指の位置と角度!
Gifアニメで角度の差を表現してみました。
少々極端ですが、これくらいの勢いで!

頑張ってシノギ筋が立ちました。綺麗に出来ればお疲れ様!と自分を誉めても良い瞬間です。
ここで、荒砥を確実に面直ししましょう!GC荒砥などを使用している場合は砥石が絶対反っています。
面直しが出来たら、作ったシノギ筋から刃先に向かって研いで刃先を薄くして行きます。
この時、薄くし過ぎると刃が弱くなるのでホドホドに!しかし、厚いままだと次の中砥でしんどい思いをします。
ポイント!この時反り部分と今までの研いでいた部分に段差や違和感がある場合、包丁全体(顎から切っ先)
までを、荒砥で全部研いで揃えて下さい。仕上がりが全然違います。

刃先を薄くする時の指位置ですが、指を砥石に当てすぎると
指の皮が薄くなって痛いので注意して下さい。
指の位置を順番に撮ってみました。
切り刃の真ん中らへんが研げます。
切っ先の続にはこんな感じ
切り刃の真ん中らへんが研げます。
順番に顎まで、研ぎ上げて行きます。
切り刃の真ん中らへんが研げます。
荒砥での作業が終了した図です。これを中砥で研いで荒砥の
目を消して行きます。この時、中砥での研ぎを何時も通り行う
と再びコンコルドになり始めるので、荒砥で培った切っ先の研
ぎを実践しましょう!

さぁゴールが見えてきました。今後は中砥の出番です。何時も通り中砥で研いで行くのですが、反り部分は
荒砥で得とくした技術を使用して、研ぎ上げます。これを怠るとまた切っ先が変になり、同じ事の繰り返しに
なってしまします!(泣)

ポイント!この時、シノギ筋側から、刃先に向かって研ぐ事をお勧めします。理由は。。研いでみたら
解ると思います。(僕の気分的な事もありますが、刃先は最後に研ぎましょう!大切な部分ですから!)

加工前の切っ先部分
加工後の切っ先部分
切っ先部分は少し上げ気味にしてあります。
上が今回治した包丁の切っ先!
下が新品の包丁の切っ先!
幅が狭くなりましたが、良い感じになったでしょう!

中砥で綺麗に研げました。この後は、仕上げ砥で一枚(鏡面っぽく)にしてしまうか、ハマグリを作ります。

これで修復完成です。写真は中砥から仕上げ砥、内曇砥石で仕上げてちょっと鏡面っぽく仕上げました。

今回の修復で、チャレンジした方が得た技術は!
1、反り部分の研ぎ方(方法)
2、シノギ筋を上げる方法
3、根性と、この包丁に対する愛着心!
4、研ぎにおけるあらゆる技術!

これは、最も早い研ぎ治し方法を説明しましたが、そんな時間は無いと言う方は、普段の研ぎで切っ先部分を
必要以上に研いで知らない間に治してしまう方法もあります。でも、これはお勧めできません。
一気に治してしまわないと絶対に治せない(気合の問題・・かな?)

もう一つの方法!これは、有効な方法です。
「下記写真の様に、刃が厚くなるのを覚悟で立てて研ぎます。とにかく研いで切っ先部分(反り部分)
を新しく製作します。」っと冒頭にありましたが、これをすると後で刃を薄くするのに苦労する可能性があります。
そんな方は、新しいシノギ筋をイキナリ作って下さい。(反りを入れながらシノギ筋を立ててしまう)
その時、シノギ筋を立てながら、刃先も一緒に研いで、刃を薄くしまくって刃を破ってしまうのも方法です。
簡単に言えば切っ先〜反り部分の変形した部分だけを必死に研ぎ続けて、刃を薄くして形を整える!

コンコルド部分の刃を薄く研いでピラピラにしてしまうのもアリですね!(これを刃を破るなどと言います。)

でも本当は、全ての工程を踏んだ方が、治ってる気がするし、技術も習得できるのでそちらがかなり
お勧めです!「こうやってもエエんちゃうの?」って人の為の補足です!(笑)

さて今回の特集はどうでしたか?来月は牛刀の研ぎ治しについて特集します。
来月の牛刀の方が作業的には楽かな??
最近あまりにも更新が送れるので8月期まで作ってしまいました!(笑)やれば出来るじゃん!!
どうでも良い事から重要な事までを色々と取り揃えていますので、お楽しみに!!

ちなみに明日から消費税を内税表示にしなくてはなりません!今夜も遅くなりそう(^^;
僕的考えでは、小泉総理の任期が終わったら消費税上がりますよ!!
税率7%とかになりそうな予感!いつかは、10%まで行くかもですね!ヤダヤダ〜〜。


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