2002年12月期


さて、あっという間に12月になってしまいました。



前回、包丁の良し悪しを特集しましたが、良い包丁を手に入れても後々のメンテが必要!
包丁本体メンテは以前ご紹介したので、今度は切れ味を持続させるメンテを特集!
切れ味を持続させる為に必要な事は研ぎ!包丁を使用する上で最も重要となる作業
ですが出刃、柳刃、薄刃は違った角度があります。それぞれの角度の意味を知って研ぐ
のと知らないのとは大きな違いが出てくるのです!
この意味を知って研ぎを行う事で、調理師の道具、片腕、意思!を兼ね揃えた包丁に
なると思います。 ある意味オリジナル包丁ですね!


=角度って!=
皆さんご存知と思いますが、出刃は魚を卸す時に使用します。
柳刃は、刺身を引く時に使用しますし、薄刃は野菜などに良く使用されます。

基本的に刃を薄くすると良く切れます。←カッターナイフなどが良い例!
でもカッターで刺身を切ると・・引っ付きますよね(笑)まして魚を卸す事は不可能に
近いし、危険です(^^; ここで重要なのが角度なのです。


魚を三枚に卸す場合、角度がキツイ方が身が広がってドンドン刃が入って行きます。
更に、刃厚があるので多少の荒い作業でもそう簡単に刃こぼれする事はありません。

魚を刺身にしよう!とした場合、角度がキツイと真っ直ぐ切れません。
切れない事は無いでしょうが、切り口の美しさ、角を立てる日本料理では邪道!
角度がユルイ方が真っ直ぐ切りやすく、刃厚も薄い為にスッと切れてある程度の角度
によって切った食材を離れやすくします。そぎ切りをする包丁ですね!

大根の剣を作る時に、より薄く仕上げる為には角度が最も緩く刃厚が薄い物が必要となります。
角度がキツイと切り開き過ぎるんですね!かと言って薄薄にするとへばり付いて作業効率が
極端に落ちます(^^;更にくっ付いた状態から無理に切りに行くと危ない・・・。


角度がキツイ程切り開く力が強い、角度がユルイ程切り開く力が弱い。
角度がキツイ物は繊細な作業に向かない、角度がユルイ物は繊細な作業に向く。
上記の事がご理解頂ければ今回の特集は終了・・・(笑)ってのは嘘です。



=角度は?しのぎ筋は直線ではダメ!=
上記で角度の意味をご理解頂けたでしょうか?知ってたって方がほとんどでしょうか(^^)
ここからが、酔心特集の本当の特集内容です。

出刃、柳刃、薄刃、角度がついてる部分はしのぎ筋と呼ばれます。
パッと見た刃先に向かって真っ直ぐ角度が付いてるように見えます。
現在の包丁は実際に真っ直ぐ付いてます。これは余り良い刃付では無い!
何故?良くない刃付けで売ってるの?って事なのですが、こうすると裏から砥ぐだけで
刃が付きます!メチャ楽ですね!これでも十分切れます、使えます。

しかし、より良く切れる包丁を求め、使い易い包丁、自分の意思のままに機能を発揮する
包丁を手に入れる為に是非お勧めしたい角度設定、しのぎ筋の状態を記載します。

=堺刃付けの特徴「ハマグリ刃」=

平から、刃先に向けて緩やかなカーブを描きながらシノギ筋を仕上げます。
これによって、角度の中にも緩やかな角度が付く事になります。
「何が大きく変わるんや?」ってなりますが、刃持ちが良くなり切り開きが良くなります。
刃持ちが良いと言うのは、緩やかなカーブを描く事で、しっかりとした刃になります。
仮に欠けたとしても、大きく欠ける事が少ない。
切り開きが良くなるのは、角度以上の繊細な角度??(難しい・・)
角度の中の緩やかな角度が出来る事から、切り開き度が増します!
切り開き度が増すと、食材が包丁に密着している時間が少なくなるために滑らかに切れます。

緩やかなカーブ一つで、刃に強さと食材を素早く切り開く事によって生まれる作業効率と
美しい仕上がりを実現する事が可能です。

ハマグリ刃にしない場合、刃がすぐに欠ける!切った物がへばり付く!と言った事が発生します
刺身を引く度に包丁を拭く、と言った作業から開放されます!
(最終的に拭くのとは違いますよぉ〜。)続けざまにシュパシュパ切れるって事ですね!

=ハマグリ刃の断面図=
下記の図のようにシノギ筋に緩やかなカーブを持たせます。
刃先は立てて髪の毛一本分程度の刃を付けます。これで切れ味と刃持ちの良さが
格段に上がり、より快適に包丁を使用する事ができます!是非チャレンジしてください。




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