さて2月です。寒い日が続いたり暖かい日が続いたり変な気候ですが皆様お元気でしょうか?
先月の月末に、あるお寿司屋さんに行きました。個人的にあまり寿司を口にする事は少ないの
ですが、知り合いの先輩?の方に『この世で一番美味しい寿司を食わせてやろう!』とお誘い
頂き、行ってきました。
先に結論を述べますと、僕の短い人生25年で一番美味しい寿司でした。
料理に関してはご覧頂いている調理師さんの様な知識は無いですが、酢が違う・・・。
ネタも違う・・。何が違うとは言えないのですが何かが違うのです。握って頂いた大将も何かが
違うオーラを持って居られました。場所をお教えしたいのですが秘密基地的な場所にしたいので
秘密にさせてください。(笑)
さて今月は、包丁の呼び名について特集してみました。
普段何の気なしに耳にしている、「霞」「本霞」「改良霞」や「本焼」「合わせ(打刃物)」などの意味?
本当の意味を詳しく追いかけてみましたのでご覧下さい。
「本霞」 「霞」 「改良霞」
恐らく良く耳にする言葉です。「この包丁は霞です。こっちは本霞です。」などとお店で紹介
されます。(霞⇒かすみ) この霞とは何だ!と言う事から話を始めましょう!
一般的に軟鉄と鋼を合わせて造った包丁を合わせ包丁と言います。
軟鉄とはカーボン量の少ない鉄で、熱処理をしても焼きが入りません。
一方鋼はカーボン量が多いので熱処理で焼きが入り硬くなります。
焼戻しで粘りが出ます。(ん〜化学的!)
鋼は切る部分に使用されます!軟鉄は支え的な存在で包丁の背に使用されています。
実際に研げば分かりますが#1000〜#2000などで研ぐと鋼が鏡の様に光るのに対し
軟鉄は、霞がかかったように光りません。(続に言う艶や消し状態)この事から霞の言葉
が使用されています。
じゃあ本霞はなんや!って事ですが、理論的には同じ事で霞がかかったようになるのですが
研ぎに違いがあります。
これはまた微妙な線でして、霞は「並研ぎ」本霞は「上研ぎ」になります。
霞は白二鋼や安来鋼などに適用され、本霞は青二鋼などに適用されます。
これは良い包丁程良い刃付けをする為です。(高い料理ほど良い器に盛たい気分と同じ事!)
ですから自動的に価格に差が生まれます。
包丁は正直な物で、手を抜くと包丁にすぐ現れます。価格が高い程、職人の手数が多いのと
良い材質を使用してると考えても良いでしょう。
(ある程度見る目が必要ですよ!とんでもない包丁をとんでもない価格で売ってたりする事もあり・・・。)
おっと!改良霞ですが、「一体なにが改良されてんの?」って事になりますが、
これはズバリ!価格が改良されてます。要するに安い刃付けなのです。
家庭用(ホームセンターなどに売ってる¥2000程度の包丁はこれ!)などに良く見うけられます。
エラーが多い包丁とはこのランクの包丁がほとんどです。
誤解されるとイケナイので補足を加えると、安いから駄目と言ってる訳ではなく、職人が手を入れなかった
事を自分で研げば霞までランクを上げる事が可能です。しかし並大抵の労力ではない事は僕が保証します。
(いちかばちか研ぎ上げてみた事があるのですが、ん〜職人って偉大だ〜の一言です。)
ポイント! 白二鋼よりも青二鋼の方が幾分刃持ちが良く、磨耗性に優れている為に長持ちします。
「本焼」「合わせ」
さて「本焼」「合わせ」デス!
「本焼」
本焼とは!一枚の鋼で作られた包丁です。ご存知の通りとても高価な包丁です。
本焼は鋼のみの包丁なので、かなり硬い包丁です。硬いが故に欠けやすい・・・。
しかし切れ味が長持ちし一度本刃付けを施すと2〜3日は小刃合わせのみでOK!なのも
魅力です。 が・が・が・しかし、一度欠けると直すのにかなりの労力を消費します。(硬いから大変)
骨のある材料(魚を卸すなど)の調理には向かず、刺身を引く時などに有効です。(使い手による)
それと、本焼に青鋼が多いのは、長持ちする事と、クロームなどで粘りが出て欠けにくい事などが
あると思われます。白二本焼の方が硬く焼きが入り欠けやすい・・・。
本焼の欠点
本焼は硬い包丁なので研ぎにくい、価格が高い、などが上げられます。
一枚の鋼で作られている為に使用中に曲がる事はマズ無いですが、使い方を
間違えると2つに折れる可能性が大です。技術を持った方でないと使いこなせない包丁です。
「合わせ」
合わせ包丁とは!これは恐らく調理師デビューで使用された包丁ではないでしょうか!
一番ポピュラーな包丁です。 これは使用しやすい事は上げられます。
研ぎやすい、欠けにくい、価格が手ごろ!他色々ですが、この3点がメインです。
研ぎやすいのは、鋼の部分が少ないので(硬いところが少ない)研ぎやすい?理解してもらえますか?
欠けにくいのは、硬い鋼柔らかい軟鉄が支える為に多少硬い物を切っても包丁で吸収されます。
価格が手ごろなのは本焼ほど手がかからないからです。本焼は硬い為に歪みがでる(焼き入れで曲がる)
のを修正するのにタガネを打ちますが鍛造は柔軟性がある為にハンマーなどで修正が可能なのです。
(これは製造過程でのお話です。)
合わせの欠点
軟鉄と鋼を貼り合わせている為に薄い包丁(柳刃、薄刃)などは使用中に曲がる可能性が大きい
理由は硬い鋼が柔らかい軟鉄を引っ張るからです。しかし、良い鍛接技術で適切な処理を施された
包丁は曲がりません。何回か前の特集の「良い包丁の選び方」で述べたように包丁寝かせる事により
包丁を締めて曲がりに強い包丁にする事で欠点はある程度克服できます。詳しくは2001年8月期を
参照して下さい。
本焼&鍛造の比較表
比較対象 |
本焼包丁 |
合わせ包丁 |
価格 |
高い(柳刃青二300mm柳刃で\85'000) |
安い(柳刃青二300mm柳刃で\27'000) |
研ぎ |
研ぎの技術がかなり必要 |
比較的研ぎ易い |
硬度 |
硬い |
柔軟性あり |
衝撃 |
弱い |
強い |
刃物鋼材 |
白一鋼、白二鋼、青二鋼 |
青二鋼、白二鋼、安来鋼 |
歪み |
非常に少ない。 |
薄い包丁程、歪みの可能性あり |
使用者 |
上級者向け |
中級及び初級者向け |
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