2003年10月期

「酔心特集10月期ふぐ引についてセカンドアップロード」


酔心INOX本焼和包丁「ふぐ引」

さて、2回目のUPになります。前回申し上げたようにINOX鋼ふぐ引包丁の案内です。
各特集、WebSite内でもご紹介している通りINOX鋼は優れた刃物鋼材です。
今回INOX鋼の素材的案内については控えます。(既にご存知と思いますので・・。)

1回目のふぐ引き特集では鋼系を主にご紹介しました。特に青二鋼をメインにした
のですが、酔心が持っているINOX鋼フグ引きはどうなの?って事で会社にあるフグ引
を一本拝借して、研いで切って色々してみました。
ズバリ!青二鋼と同じ研ぎでは、青二鋼の方が良く切れますが、INOX鋼に合った研ぎ
をすると、INOX鋼が青二鋼と十分張り合える切れ味が出ました。
天然砥石などは一切使わずに、皆さんが持って居られると思われる合成砥石で研いだ
結果です。ここでINOX鋼に合った研ぎと言うのが問題なのですが、これは前回の特集
で動画にて配信していますのでそちらをご覧下さい。

文章で書けよ!と言う方の為に簡潔に書きますと、
通常の青二鋼などの鋼は、裏押しの際バリがチリチリ取れます。
INOX鋼は粘りがある為に、バリがチリチリ取れません。
だから、INOX鋼には糸引刃(極端にはニ段刃)が必要になります。
糸引刃にする事で切れ味を長持ちさせる効果もあります。

裏ネタ!
本焼包丁は硬い為に欠け易いデメリットを、糸引刃にする事によって幾分解消できますし
切れ味が長持ちする効果もあります。多くの方は綺麗に研ぎた包丁を立てて研ぐ事に抵抗
を感じると共に、もしこれで切れ味が落ちたり切れ味が長く続かなかったらどうしよう!
と思うと思いますが、是非一度チャレンジして欲しい技です。
堺刃付職人さんは最終仕上げの際、表裏共に立てて研いでいます。
研ぐと言うより硬質合砥で刃先を撫でる程度ですが、これは新品から欠けるのを防ぐ為だと
思います。誤解が無いように追加しますが、お客様は裏を立てて研がないでください。
通常の裏押しでお願いします。包丁の裏は、包丁の命です。

話は戻って、酔心INOX本焼和包丁「フグ引」ですが本焼ながら砥石乗りが良く青二鋼本焼と
比べると購入しやすい価格で、サビに強く良い包丁だと思います。
ただ、一つ気になる事は、鋼包丁からのコンバートです。
研ぎにおいて青二鋼などとは少し違う部分があるので、鋼に慣れ親しんでいる方には抵抗が
あるかもと・・・。 しかし、使いこなす事が出来ればサビに強いし、粘りがあるので切れ
味が長く続き、欠けにくい、良い包丁であると思います。←超営業っぽいですがマジです。

今度展示会などがあった場合、実際に展示会場でINOX本焼の実演?実際に切ってもらう機会
を設けたいと思います。青二、白二、銀三、INOX鋼と実際に切ってもらう試乗会?試切会を
行いたいと思います。その際は、Webにて「試切会案内」を流します。
でもインターネットで切れ味を試せたら面白いですよね!それが出来たら試食も出来そう!


酔心INOX鋼本焼サイズについて!
フグ引きとしてご用意しているのは270mmのみとなっています。
しかし、うす引と言うラインがあります。うす引は、柳刃の刃幅でフグ引に近い厚みの包丁
です。前から見たら柳刃、しかし持って上から見るとフグ引と言う包丁です。
「うす引」のサイズは270mm 300mm 330mmの3種類です。
うす引って何用の包丁?となりますが、これはお寿司屋さんへ向けての包丁で注文を受けて
からネタを引く場合に使用する包丁としてラインしています。薄い方が刃通りが良いのと軽
量の為、手が疲れるのを軽減する為です。
柳刃は数を引く時に最適な包丁です。例えば、温泉旅館などで一気に100人前刺身を引く
事になれば、包丁が軽いと刺身を切りに行く事になり、逆に手が疲れます。
そうなると、包丁の重みを利用して引き切ると言う作業にもってコイです。
まさか、刺身を100人前作って置いておくような事は無いでしょう・・・。
表面が乾いてエライ事になりますし!!柳刃は、ダァ〜〜〜と引く時にお薦めです。

それで、僕からの提案ですが、普段は寿司屋で冬のフグシーズンはフグ料理をすると言う方
は、うす引がお薦めです! 普段はネタ引きに使用して、フグの時は幅の広いフグ引として
利用して頂けると一石二鳥です!


上田屋さん再訪問
今回は、フグ引特集と言う事ですが、フグと言えば「上田屋さん」!
初回UPは、包丁屋的理論でフグ引きについて、書いてみたのですが、今回はINOX鋼フグ引特集
と共に現場の意見をガッツリ聞かせて頂いたので、報告します。

INOX鋼でフグを薄く引けるのか!
これが、僕の中で最も気になった部分です。青二鋼、白二鋼などは、昔からある素材で、昔の
職人(調理師)さんがメインで使っていた素材で、この素材で出来た包丁でフグ料理は確立され
てきたと思っています。いわばルーツ! そこに最近のステンレス系(INOX鋼、銀三鋼)が入っ
てきて現在の刃物需要と言いますか、刃物使用現状になっていると思います。
上田さんは白黒ハッキリ言われるので、INOX鋼で薄く引けるか否かを質問しました。

関東のように、INOX鋼で絵皿が透けるほど引く事は可能でした。
これは目の前で実際に切って頂けたので、猛烈に納得しました。
しかし、全ての調理師が引けるとは限りません! INOX鋼が素晴らしい切れ味を発揮するには
糸引き刃などが重要になってきます。そうなると、青二鋼などと同じように引きに行くと薄く
引く事は無理でしょう。 刃先の繊細な角度の問題が発生します。
青二鋼のように刃先をピンピンに伸ばした状態と、2段刃に近い状態のINOX鋼では、刃入角度
が変わってくるのは必然です。

上田さんは、その角度を理解し実演してくださいました。INOX鋼は薄く引ける能力があるよ!
と言う事を実証していただいたのですが、やはり神経を使うそうで、本気で薄く引きに掛かる
時は、青二鋼本焼を使うと言って居られました。

しかし、包丁も大切だけど、フグの状態(魚の状態)が最も重要だと言って居られました。
調理師さんならご存知と思うので長々と書くのは控えますが、包丁も大切ですが、食材も重要
と言う事を今回勉強させて頂けました。


写真左側、厚手の身が上田屋さんの厚み(実際これの2倍の厚みで頂きました。)
写真右側、薄手の身が、INOXで引いた厚み(下の絵皿が透けて見える!)
青二鋼本焼で薄く引きにかかればもっと薄く引ける!との事でした。


結果どうなの?
じゃあ結果的にINOX鋼はどうなの?やっぱり青ニ鋼なんかの方がエエんか?
結果を求める、これは非常に困難な事です。今まで青二鋼などの鋼を使用している方ならば、
何一つ変えずに使用できる青二鋼の方が良いし、調理の伝統を考えれば青二鋼の方が良いとも
思います。しかし、INOX鋼の特性を生かす研ぎや、調理方法をマスターすれば、切れ味が長く
持つしサビに強いメリットが生まれるし・・・・。 
究極に薄く引くと言う事だけを考えれば青二鋼本焼!(関東方面はこちらかな?)
そこまで薄く引く必要性が無い、総合的に良いと考えればINOX鋼本焼かも知れません。(関西系)
でも、フグの状態、調理師さんの腕、包丁の研ぎなど色々条件によって包丁も変わっていくの
かと思います。 答えは無い・・ 100人居れば100通りの答えがあると思う!!!!

個人的見解ですが、上田さんに薄く引いて頂いたフグと厚めのフグを食べ比べましたが!
薄い方は、何と言うか歯のギザギザにフグ身が順応してしまい、噛んでる感覚が無い印象でした。
薄いので、噛む必要も無いんかなぁ〜と思いましたが、ポン酢の味しかしない気がしました!
一枚ずつ食べたので、薄いのを数枚まとめて食べればまた違うかもしれませんが・・・。

フグを薄く引く決定的なメリットは何なのだろう??そんな事を考えると料理の勉強もしなきゃ
ダメですね!魚釣りをするので、釣った魚を美味しく食べる方法を研究しようかと真剣に考えて
います。


酔心特集を続けますが、最近結果の出ない事が多いです。
結果を出す(これが一番切れる!)などは本質的に考えれば押しつけ的なものかも知れないです。
この営業的文句は必要で、この文句次第で包丁売れるかもしれませんが、分かる人が使えばその
文句は、通用しない気がします。
酔心特集は、一種の例として特集、情報公開をしたいと考えています。
堺の職人さんが言われる事をUPして、調理師さんがそれを見て、自分で消化した上で研ぎに生か
したり新しい包丁購入に手助け出来ればと考えます。 酔心の包丁包丁を是非!←営業(^^)


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