ようやく本格的に暖かくなり、新緑がまぶしい季節になってきました。ゴールデンウィークは皆さんどうされましたか?
僕は、今年車検があるので大人しく・・・・釣りに行ってきました。結果は・・・・。
さて、先月号で予告していたウナギ裂特集ですが、ちょっと興味が別の所へ行った事もあり今回は見送る事にしました。
今月は、また研ぎ関係で、いつごろ中砥を使うのか、日々の流れの中で包丁を研ぐ普段の研ぎについて特集します。
砥石の必要性!
これは前々から申し上げてるので必要ないかと思いますが、一応記載します。
和包丁は、砥石で研いでこそ本来の性能を発揮します。特集で耳が痛くなるほどに言ってきた事です!
荒砥、中砥、仕上砥の使用目的も特集で記載しました。
荒砥は欠けた時、刃を直す為の物! 中砥は荒砥の次に使用し、仕上げはより鋭い切れ味を求める時に使用!
これらは、皆さんご存知の事です。では、日々の流れの中で包丁を研ぐ際に、どう使い分けるのか!
青二、白二、銀三、INOXなどを取り上げて包丁の特性と、砥石の使用時期を特集します。
いつ砥ぐの?
極めて単純な事ですが、研ぐ時期は包丁切れなくなった時です。
この切れなくなった時ですが、「うぅ〜切れ味悪くなってきたなぁ〜。」となった場合、スグ中砥へ行く必要があるのか!
僕が今まで見た居酒屋、寿司屋さんは、中砥で研ぎを終わっている所が多くありました。中砥でも切れればOKかなぁ?
そういう場合は、「中砥に以外にどうするねん!」と言われそうですが・・・。仕上げ砥まで当ててる人の場合、中砥へ
行くのは「ちょっとシンドイなぁ〜」と言う方も居ると思っています。
そんな方へのちょっとした基本情報?基本データを掲載しようと思っています。
素材 |
荒砥使用 |
中砥使用 |
仕上砥使用 |
青二鋼 |
大きく欠けた時
シノギを上げる時 |
2〜3日に一回
小さく欠けた時など |
毎日 |
白二鋼 |
大きく欠けた時
シノギを上げる時 |
1〜2日に一回
小さく欠けた時など |
毎日 |
銀三鋼 |
大きく欠けた時
シノギを上げる時 |
2〜3日に一回
小さく欠けた時など |
毎日 |
INOX鋼 |
大きく欠けた時
シノギを上げる時 |
3〜4日に一回
小さく欠けた時など |
毎日 |
小さい欠けならば、中砥で立てて研いで欠けた部分を取り除き、立てて研いだ部分が見えなくなるまで中砥で
研ぎあげて、仕上げを当てれば十分OKです!荒砥を使うと研げ過ぎて大変なのと、切り刃の荒砥跡を消すのに
結構苦労します。恐ろしく欠けた場合に荒砥をお勧めします。
上記の表内容は使用頻度によって大きく変化します。青二鋼などは粘りがある為に切れ味が落ちる率は低い
白二鋼はピュアな鋼で比較的硬い素材なので切れ味が落ちる率が高い。銀三鋼も粘りがあるので低下率は
低いですし、INOX鋼はかなり粘りがあるので切れ味が落ちる率は極めて低いと考えています。
余談No.1
砥石の番手(#800、#8000、#12000)は砥石を形成している粒子の細かさです。
僕も顕微鏡で見て自分で納得した訳ではありませんが、粒子の細かさ=刃先にある鋸刃の細かさだと
言います。1cm四方に何個の粒子が入るか!と言う表示法で仮に#8000の場合、包丁の刃先1cmの中に
約8000の鋸刃が存在すると言う事です。30cmの柳刃だと30×8,000ですので約240,000個の鋸刃がある事になります。
この鋸刃の数が多い程、刃先が直線に近くなり良く切れる要因になります!
天然砥石の場合、ハッキリ言って番手は存在しません。砥石を形成している粒子の大きさはバラバラですし
研ぐと粒子が潰れて泥となり番手で表わす事の出来ない番手になります。合砥だと多分#15000番以上でしょう!
番手が表示されている砥石(合成)の場合、番手以下の鋸刃は付かないと思って下さい。
上記の表内容は使用頻度によって大きく変化します。青二鋼などは粘りがある為に切れ味低下率は低く白二鋼は
比較的硬い素材なので切れ味低下率が高い。銀三鋼は粘りがあるので切れ味低下率は低いですし、INOX鋼は
かなり粘りがあるので切れ味が落ちる率は極めて低いです。
刃物は硬い素材が良く切れますが、硬い故に刃が痛みやすいのでマメに研ぎを入れる必要があります。
例として、包丁を本刃付けした場合切れ味が長持ちする率は
INOX鋼⇒銀三鋼⇒青二鋼⇒白二鋼の順番と僕個人は考えています。
じゃあ、よく切れる順位は?となりますが、これは研ぎの方法によって大きく変わりますが、
白二鋼⇒青二鋼⇒INOX鋼⇒銀三鋼といった感じでしょうか!
白二鋼よりも青二鋼が良く切れる感覚が生まれるのは、青二鋼の方が粘りがある為に刃を薄く研ぎ上げれる事が出来る為です。
基本的に刃を薄くすれば切れ味は各段にUPします。しかし刃を薄くする事は欠ける危険と隣り合わせで調理をしなくてはなりません!
白二鋼も薄く研ぎ上げれば青二鋼よりも良く切れると思います。
しかし、白二鋼を青二鋼ほど薄くすると・・・ピキピキ〜っと欠けてしまう事になります!
砥ぎの裏技として「糸引き刃」「ハマグリ刃」が存在します。
情報として「糸引き刃」は、白二鋼、本焼包丁全般に適します。
白二鋼や本焼類は焼きが硬く入っている為に欠け易いと言えます。
「糸引き刃」を付ける事で白二鋼でも切れ味を長く保つ事が出来ます(青二程じゃないですケド)
「ハマグリ刃」はあらゆる包丁に適用できます。青二やINOXは粘りがあって強いと申し上げましたが、
乱暴に扱うと簡単に欠けますし、刃も弱る!「ハマグリ刃」にする事によって力がある刃になり安心感のある刃になります。
(安心感の刃=強い刃)
話は戻って、INOX鋼、銀三鋼は切れ味に関しては青二鋼、白二鋼に負けますが13クロームが入っている為に、
サビに強いメリットがあります。モリブデンが沢山入っている為に切れ味が長く続きます。
特にINOX鋼は一度本刃付けをするとかなり長持ちします。クロームが入ると粘りが出て長く切れる要因になります。
青二鋼も白二鋼にモリブデン、タングステン、クロームを入れた素材ですので「何故に長く切れるの?」の疑問に関しては、「モリブデン、クロームが入っているからです」と答えると間違い無いでしょう。
クローム⇒正式名称クロム 銀白色でつやのある硬い金属元素{記号Cr、元素番号24}
空気、水などに侵されず、常温では極めて安定。耐熱、耐食性にすぐれ合金の材料
として多用される。
モリブデン ⇒ 白色の硬い金属元素{記号Mo
原子番号42}鋼鉄に加えて特殊鋼を作る材料。
ともあれ、包丁の素材と研ぎ、砥石の関係は切っても切れない関係と言う事です!
青二鋼の場合、毎日中砥へ行く必要は無く、刃先を合わせるだけで良い切れ味を保つ事ができます。
白二鋼の場合、毎日もしくは2日に一回は中砥へ行って、切り刃を研いであげる必要がありますし、
銀三鋼の場合、毎日中砥へ行く必要は特に無く、刃先を合わせるだけで切れ味をある程度保てます。
INOX鋼などは、仕上げ砥のみで、一週間でOK!といった話も耳にします。
(上記は、使用頻度によって大きく変化しますが一般的な見解です!)
おい!青木君、ちょっと待てよ?じゃあ、中砥って何なの?中砥の意味は何?何故に中砥使用頻度を書いているの?
疑問が生まれそうですので、日々の使用によって変化する包丁の刃先想像図で解説しましょう!
お客さんが持って居られる包丁の素材やクセによって青二でも毎日中砥へ行く必要があったり白二でも
仕上砥でOKな場合もあるかもしれませんが、一般的な事として掲載しました。
クセとありますが、ここで書くと恐ろしく長い内容になりそうなのでここらで終わりにしますが、鍛冶屋の腕や
包丁が寝た期間によって包丁の性格が変わります。 白二なのに青二っぽいとか(笑)青二なのに白二
のように硬い感じがするとか!ここまで感じれる調理師さんは結構キテると思います。←道具に思い入れがある人!
僕も毎日、数多くの包丁を触ったり、研いだりするから「さっきの白よりこっちの白が柔らかいなぁ〜」とか「青二なのに
硬いなぁ〜」と分かってくるわけで・・・。 でも、ほとんどの調理師さんは、分かりますよね!
今まで使ってた包丁から新しい包丁に変わった瞬間に「ん?ちょっと違うな!」と感じると言う感覚です。
前回の特集の終わりで、ウナギ裂系を特集すると言ってたのに、中砥の必要性、素材の話になってしまいました。
非常に勝手な展開で申し訳無く思っていますが、今自分の中で一番熱い物を特集しようと思っていますのでお許し下さい。
なので、来月の特集内容は未定です!
まだ5月ですが、梅雨も近いですので、包丁の管理やまな板などの消毒などなど雑菌や錆に負けないようにしましょう!
SARSも流行ってますからねぇ〜、日本に入って来ない事を祈るばかりです・・・。
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