2007年2月期「裏押しマスター 他!」



あ、、あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。
        一応今年一回目の特集なので・・・。

なんて言っても、既に2月です。暖か過ぎます(^^) エルニーニョだとか言うけど温暖化は
確実に進行していると思われる!! いつも釣りに行く場所の漁師さん曰く、捕れる魚種が
変わったとか、捕れる時期がおかしいだとか・・・。

さて、今年一発目は日々修行に書いていた事々を書こうかと思います。
下記の事以外にも色々あるのですが、取り合えず実戦で使える?スグに使えそうな事を!
前々から裏押しに関する問い合わせも多く、職人さんから指摘された事も含めて特集です。


■裏押しマスター!

和包丁の醍醐味である片刃と裏押し! 片刃側(表)の研ぎに関してはハマグリだ!ベタ研ぎだ!
糸引だ!と色々ワイワイ言ってきましたが、もう一つのポイント裏側についての研ぎに関して
大きく触れてきませんでした。言っても「裏の比を無くさないで〜」 「裏を錆びささないで〜」 程!

日々修行で、職人さんに僕が本刃付けした包丁をチェックしてもらって言われた事が「裏押さなさ過ぎる!」
っと言う事でした。そこで裏押しの幅について教えてもらった事をチョコチョコと・・・。

その前に、以前書いたかも知れないですが復習です。
裏の比(凹)は、摩擦抵抗を軽減する為になくてはならない部分です。

これは表のシノギ筋と同じくらい大切で、切った食材が張り付いて摩擦抵抗をするのをかわす作用があります。
この摩擦抵抗を更にUPさせよう!刃先を薄くして強度を持たせよう!としたのがハマグリ刃になります。

裏の比が無い場合、裏側に張り付いてニッチモサッチモな感じになってしまいます。
「じゃあ、裏を比を沢山付けてもっと凹くしたら張り付かないんじゃねぇの?」そう思います。
僕もそう思いました。しかし、それをすると非常に刃が弱くなりボロボロと・・・。
「じゃあ、裏の比を少なくしたら刃が強くなるのかよ!」そうなります。答えは「Yes!」でも〜〜〜
張り付きますんで、総合的に考えると良くありませんね!

ちなみに!鮭切りなど幅広くて薄い物に、裏の比を付けない方向の方が良いみたいです。
特に、半解凍の物を切るなら、裏の比が無い方が強い!
冷凍物行くなら、洋包丁のが強いかなぁ〜。いや、和包丁の方が良く切れるかも!!
半解凍なら・・・・・ ま!この辺は皆さん試行錯誤と言う事で(^〜^)b

酔心の包丁は、裏の比に関してはとっても敏感でして・・・・。
裏が悪いと、刃が真っ直ぐにならないとか、色々支障もありますので・・・・。

で!本題の裏押し幅です。 一体どれくらい押せば良いのか?基準はどれくらいなのか?
ハッキリ言って基準などはありませんが、職人さんが「こんくらい!」と言う幅を紹介したいと思います。

 
切っ先部分の研ぎはこの角度で研ぐと
綺麗に先が仕上がります。

この事については下記参照!
裏押し方法は個人別に色々あると思いますが、僕はこんな感じで!押す時にパワーON!
 
切っ先をカッコ良く!
切っ先を研ぐ時、綺麗な帽子(シャッポ?)
を作ろうと思った時、上記の写真のような
角度で裏押しすると綺麗に出来ます!

←写真の左側(背中側)の方が微妙に広い
ですが、これは角度との関係でこの様に!

左右対照にするならば、砥石と平行に!
ただし、柄が砥石に当たるのでチョコチョコ
動かす感じになります。
 

 

 
拡大したら解らんやろ〜っと言われそうですが、デジカメをマクロしても綺麗に写らなかっ
たもんで、ルーペ越しの裏押し幅です(^^;
上記写真の顎周辺の幅が理想との事!
ついでにチェックして欲しいのが、顎の角を飛ばしてある事です。
これは上田屋さんの上田さんが、撮影時自分仕様にカスタムした物です。
角が無いので万が一手に当たっても刺さらない&切れない!
上記写真は、幅が狭過ぎるの図です。
比の端っこで受けるので刃が弱い?もろくなる?事が考えられます。
実戦向きでは無い感じですね・・・(^^;
ついでに切っ先も! こちらも上田さんがわざと先を飛ばした物です。
スグに先を作れるように最小限で飛ばして下さった感じですね!

バタバタした調理場で、手を刺したりしてしまった方は、一度試して?下さい。
手を切ったり突いたりしたら、痛いですし・・・。
上記写真は安来鋼です。裏押しはこんな感じの幅でず〜っと先まで!
安定して先まで同じ幅で研ぐのは難しいかも知れませんが、砥石面が安定していれば
大丈夫だと思います。力の配分で攻略します!
あと。。包丁の裏に綺麗な比が出てる事が絶対条件です。。
 


「いくらでも裏押し幅が広くなるんですが・・・・」

そう思う方が居られると思います。もちろん表を研いで裏を研げば徐々に広がりを感じる
かと思います。 これの解消方法?って言えば良いのか微妙ですが、表側からしっかり研いで
カエリを出して裏を押せば広がらないと思います。

カエリが出る=刃が薄くなって千切れる!

表から研ぎ込んで薄い部分を取れば裏押し幅分も取れるハズですから・・・。

これは、良く研ぐ必要のある炭素鋼系に有効な方法なのです。
問題は切れ味が長持ちし、粘りある包丁です。

裏押しでカエリを取ろうとすると押しまくる結果になるので、刃を付ける(得る)為には仕方ない。
特にINOXなどのステンレス鋼系統は、これの傾向を強く受けます。

どうしたらエエのか?
この方法としては、最初の本刃付けでしっかり研ぎ上げて、出るカエリを全部出します。
難しい言い方しましたね(^^; しっかり研いで形状を整え、その時出るカエリを全部取ります。
コレは、中砥ではなく仕上げ砥で取ります。

表は中砥で研ぎ込んで、そのまま裏も中砥で行きたい所を仕上げ砥で裏押ししてあげる。
これで、基本的な研ぎの際に裏押し幅が広がるのを防ぎます。
もしも、裏押し幅を広げたければ仕上げ砥で調節しながら行った方が良いかと・・・。

で、これで毎日使うための基礎が完成しますよね!(ハマグリやベタの基礎!)

ここから!毎日のメンテナンスです。これが一番重要なのですが、まず使用頻度によっては
この方法が効かない可能性がある事を理解して頂いて・・・・。

INOXは、1日使ってもその切れ味が100から60くらいまでしか落ちません!
なので刃先を仕上げ砥で撫でるだけで切れ味を100に近く戻す事が出来ます。
撫でるだけだと、カエリもそんなにでませんし刃先の鋼材分子を整える感じに思えば裏を
グシグシ押すことも少なくなるかと思います。

疾風なども切れ味が長持ちしますが、炭素鋼ゆえの小さい小刃欠けなどを起こす事があります。
これは、表からしっかり研いで!(言い換えれば表から研いで裏押し幅を狭くする?)をすれば
裏の幅が安定するかと思います。

これをちょっとずつ繰り返して1分ほど包丁が減った時に良い切れ味になる包丁になるかと!

ちょっと文章では意味不明な事もあるかと思いますのでいずれ動画で説明しようかと思う次第です。

研いで行くと、切刃の幅が狭くなてきます。切り刃が狭くなってきたらベタ研ぎの時期だと思うの
ですが、購入時の感覚を維持したい人もいます。その方法が次の研ぎ角度マスターで解決です。


■研ぎ角度マスター!

マスターと言う程でもありませぬが・・・・。これも教えてもらったのでご紹介!
よく紹介されてる研ぎ方では砥石との角度が45°で!っと書かれています。
これでOKです(笑) OKなんですが、、50°〜55°位が良いと言う事を聞きました。

砥石に対して直角にすると地金が良く研げます。平行にするに従って鋼が研げ易くなります。
言い方がおかしいかなぁ・・。砥石に向かっていく先頭側が良く研げます。
良く砥石が食うという感じでしょうか(^^; #表現に悩む・・・#

 
上記の角度90°で砥ぐと軟鉄部分が良く研げます。右の写真がソレです!
銘「酔心」周辺が深く研げてると思います。刃先に砥石が当たっていません・・・・。
基本的に新品はハマグリチックになっているのでベタと当てて90°で研げば真ん中が当たる
んですが、この角度だとそれを飛び越えて当たってる事になります。
この角度でも、シノギ筋側を当ててしまいます。
しかし、砥いでる感覚は素晴らしく!
「俺!砥いでます(^〜^)」って気分に!
一般的にこの角度くらいで研ぐのが基準かも
テキストなどには、この角度って!!
しかしながら、下記の角度で研ぐと軟鉄とハガネが安定して砥げます!
右の写真を見て下さい。バランスよく砥げてるように見えるでしょ!
下地が早く完成する感じがありますが、ハガネと軟鉄を半々で砥ぐのでスピード感は無いかも。
ゆっくりゆっくり成らすように研ぐ感じですね! 結果的にこの方が早いんです(^^)b
 


で!45°以上(直角に近い)で研いだらどうなるのか!気になりますよね〜〜。
僕にはスペシャルダイヤ砥石があるので、恐ろしい研削力にて実験してみました。
どうなったと思います?? 

1.面白いくらい良く研げてる気分になる。
2.でも実は切刃のシノギ筋側を妙に研ぎ過ぎてる感じになる。
3.そのまま突き通すと切刃に凹みが出来た様になってくる。
4.結果、妙な研げ方になってしまう・・・。

ようするに!バランスよく研げないと言う感じでしょうか(^^;

しかしながら、シノギ筋を一気に上げてやろう!と思った場合、この方法で上げる事が出来ます。
使いようによっては便利かも知れません! 一応メリットも(^^)b

そんな事を思って疾風をチェックしたら、薄っすらそんな兆しが・・・・。
厳密に見れば、ハマグリになってはいるんですが、完璧では無いです。。はい。日々修行です・・・。

疾風です。自分の至らない砥ぎを載せるのは辛いですが、修行中と言う事と、良いサンプルになったので掲載します(^^;

こうやって見たら綺麗に砥げてるのですが、下記の写真のように蛍光灯と横に映すと・・・・。
切り刃に映る蛍光灯を見て下さい。
シノギ筋から伸びて一回曲がってハマグリを通って刃先に伸びてるのが解ります。

理想とするのはシノギ筋から真っ直ぐ、もしくは綺麗なカーブを描きながら刃先に抜けていく蛍光灯ラインです。



■滑らかなのに滑らなぁ〜い(←外国人風に読んで下さいq(^0^)p

滑らかな切れ味は美しい切り口を与えてくれます。日本食には重要な事です。
しかし!究極を求めない限り、滑りながら切るのは仕事としては効率が悪い!
「滑らかな切れ味を持ったまま、鋭くならんかなぁ?」

これは個人個人の感覚なので、僕の実験した感覚結果と皆さんの感覚結果が違う
かも知れませんが、そんな感覚を作れます!
これは、青二鋼でも白二鋼でもINOXでもなんでも大丈夫!この方法は裏特集に書きます!



今回はこの二種類でおしまいです。
記事?を書いてると、これも言わなくては、あれも言わなくてはとなって長くなってしまいます(^^;
結果、あっちに行ったりこっちに来たりの文才の無い文章ですが、いかがでしたか?

日々修行のブログ更新がとても楽なので、どうしてもアレに頼ってしまう感じがあるこの頃ですが
写真とか濃い事を書くには特集記事が良いですね(^^;

まだまだ書きたい事があるので、今年は頑張って時間作って更新して行きます!


第弐幕特集TOPページへ