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本刃付けの定義

最近、本刃付けをする機会がありました。

しつこいようですが、「本刃付けって何やねん?」っと思い始めました。

過去記事や過去の特集を振り返ってみても、決定打的な言い分が無かったわけで、
なんだか目の前に蜘蛛の巣があるような、見えてそうで見えない状況でありました。

この所、上田師範からの包丁使い講習や、サンフランシスコのAkiraさん、いつもコメントを
頂くlovekidoldさんからの意見や、自分が思う事とか職人さんが言う事を考えました。

で、、今日現在で思う本刃付けの定義ですが、確固たる定義が無いと思いました。

なので、極端な話し、本刃付け方法は説明出来るようで出来ない方法であると・・・。

何を考えてそう思ったか!ですが、包丁を使う場面がそれぞれ違うので本刃付けの品質が
変化するので、厳密に言えば「これが本刃付けの極意だ!」なんて事は無いと。。。

本刃付けの品質とは、切る物に対しての品質で、それは料理に影響する品質であります。
料理に影響する品質は、料理の代金にも反映してくるので、逆から考えると本刃付けの
品質(定義)が変わってくるように思いました。

大衆居酒屋で、割烹料亭のような本刃付けをしたとしても、それに対する対価もありますし
研ぎに掛ける時間も変わってくるので、そこそこ見切りも付けなければならない状況が
考えられます。 大衆居酒屋さんでも包丁好きな方は、勤務時間外で深い本刃付けをして
挑む方が居られると思いますが、それは姿勢であって調理師としてのプライドに!!
”昔、包丁研ぎも給料に含まれている”と聞いた事があります。

あえて本刃付けのボーダーラインを決めるならば、お金を頂く料理を出す為の刃付けに
なるのではないかと思うのです。。

いくらか支払って、家と同じ味だったり刺身だったりしたら「家で食べるわ!」っとなる。
明らかな違いを出す為に、もっとも明解な作業は鋭く切れる庖丁を使う事かも!
↑包丁屋としての独創的な意見↑
例えるなら、上田屋さんで見た玉葱断面の違いなんかは、ソレに通じる事になるのでは?

そんな本刃付けの付加価値としてハマグリや糸引、砥石の相性や鋼材選びに発展すると。。
(耐久性や、調理師の使い易さを考慮した付加価値!!)

家で使う包丁を本刃付けした!!っと言う方も居られると思うのですが、自宅でプロの
切れ味、食感、断面を得る事を目的として刃付けしたと言う事になります。

そんな事を考えるとブラックホールに吸い込まれそうになるのです。。
そしてまた、修行の日々が始まるワケでございますが、今日現在はそんな事を考えてます。

反面、あんまりややこしく書くと、楽しく無くなるので、もっとサッパリなブログにしようと思うのです。

  • 2010-06-30

No title

達哉さん、お疲れ様です。確かに本刃付けとは難しいそうなテーマですね。職人、それぞれに自分の好きなイメージがあると思いますので。べた研ぎの直刃が好きな人もいますし、はまぐってないと嫌な人もいると思いますし、悩みますね。
自分の場合は、最近達哉さんに付けていただいた本刃付け、大のお気に入りですよ!! はまぐってからの刃先の糸引き、最高です!! 研ぎやすいし、切れ味が長持ちしますね。アメリカのすし屋の場合、巻物をよく切るので、真名板をどうしても切っていくので、切れ味が落ちやすいです。達哉さんのミラクルエッジ仕様の本刃付けなら1日軽がる仕事こなせます。でも糸引きの嫌な人もいるでしょうし、本当に難しいテーマですね。包丁を使う職人のことを知っていれば、やりやすいかもですね。でも達哉さんの本刃付け最高ですよ!!

  • 2010-06-30(16:44) : 
  • あきら URL : 

私は単純に考えていますよ

 「お金を頂く料理を出す為の刃付け」、正にこれに尽きるんじゃあないかなあ。なまじ「本刃付け」の「本」の字にとらわれ過ぎてしまうと、私は何だか本質を見失いがちになり易いようにも思います。あくまで、だらだら長生きして来た(笑)だけの年寄りの考え方なのですが、仮に「本刃付け」というものを私なりに定義するならば、以下の四つに分かれると思います。

 ①直刃べた研ぎ、目指せカミソリ!(笑)
 
 ②直刃べた研ぎ、糸引き有り。

 ③はまぐり刃、糸引き有り。

 ④上記三つに、鏡面を含めた目にまぶしいくらいの化粧研ぎを加えたもの。

 ①の包丁だけを使って商売が成り立っているような店は、客単価の相当高い少数派でしょうね。この刃付けで胃に穴があくような痛い思いをした私は、この選択肢をとっくの昔に捨てました。
 ②は、蛸引きと薄刃にはこれらの包丁の構造上、どうしてもそのようにならざるを得ないと思います。
 ③は、出刃には必須条件です。同時に、これが柳系や洋包丁のスタンダードな標準と考えてよろしいのだと思うのですが、実はこれこそが使い手の技量に最も左右され易い要素に満ちており、単一の定義は不可能かと思います。
 ④は、御客様の目の前で調理する板前割烹店では必要でしょうね。小汚い切り刃の研ぎと鈍い切れ味の包丁は、論外ですから。

 これも、ご参考になるのかどうか………………

 ようやく、安い給料の中から爪に火を灯すような想いで貯金した何枚かの「聖徳太子」で、先輩のお下がりでなく、自分自身の包丁を買おうと勇んで包丁屋さんに初めて出かけたあの若かりし日の事でした。

 私「……..、あの……、柳が欲しいんですけど………..」

 明治生まれの頑固な親父さんでした。牛乳瓶の底みたいな分厚い丸眼鏡の奥底から、ジロリと私を見上げる眼光のおっかなかった事といったらなかったなあ。

 親父「…………..」

 私「……………….」

 親父「……….あんちゃん、手ぇ見せろ。」

 私「は?」

 親父「四の五の言わねえで、手ぇ見せろって言ってんだいっ!。」

 築地の仲買いのおやっさんがこんな感じの時代の事でした。まさか、自分の板前人生初の自腹包丁買いで、「手相」見から講釈が始まるとは思ってもおりませんでした。

 親父「あんちゃんみていに、ガタイがでかくて団扇みていな手ぇしてる野郎にはな、最初多少使い辛くっても、長くって重いのが合ってるんだよ。これも修行だと思ってやってみな。」

 嫌も応もなく薦められた包丁は、尺一寸の霞で刃幅の広いまさに「ダンビラ」でした。薦められはしたものの、お金が足りませんでした。

 親父「金はなあ、天下の回り物よ。いいから、もってきな。刃付けしてやっからよっ。」

 私「でも、それじゃあ……….」

 親父「バカヤロッ、ただじゃあねえよ。おまいさんがまともに料理できるようになりやがったら、出世払いでいいって言ってるんだっ。どうせまだまだ、まともに研げやしねぇんだからよっ。」

 もう、とっくの昔にあの世に逝かれた方なんですが、何と申しましょうか、私、この人に研ぎのイロハを教えて頂きました。直刃べた研ぎオンリーな研ぎでしたが、砥石と鋼の相性についてはずい分とご教授してもらったものです。(もちろん、包丁の代金は払いました。一年後でしたけれど……….)

 何だか、年寄りの昔話に華が咲いた感があり、申し訳ないのですが、蛇足ながらもうひとつ。

 うちを御懇意にして下さっている、大学教授の御客様のお話です。

 多元連立方程式のそれぞれの解は曖昧に成らざるを得ないのだそうです。「連立方程式」というものがよくわからない私の脳なりにお話を解釈してみたのですが、物事を成り立たせている要素が多くなればなるほど、得られる回答はひとつではなくなるそうです。多分この辺かなぁという範囲しか、特定できなくなるようですね。

 お目汚しにならなければ幸いなのですが、まあ、こんな風に思っている年寄りもいると思ってください。

 乱筆乱文、失礼しました。


ちゃうで

達也君、それはそうだけれども僕の意見としては、食べるものは一つですよ、居酒屋だろうが料亭だろうが全て料理ですよ、ここだからこんなんでいいだろうとか、ここだからこうしないととか、色々あると思うのですが、全て人の口に入るものです、料理は終わりがないです、磨ぎも終わりがないように、何時もそのとき料理人が思っているベストがあると思うのです、本刃付け当たりまいだと僕は思うのです、自分に対して食材に対して、お客に対して真剣に向き合わないと痛い目に会うと思うのですが。。。。痛い目に会うのが嫌だからではなくて一日のうち何時間ぐらいでしょうか?真剣になるのは?自分の一生、地球の一生から見ればほんのわずかな時間だと思うのです。
己を磨く、心を磨く、光るものは光らせる、切れるものはもっとずーっと切れるように保つ。
包丁も砥石も無くなるから良いのではないでしょうか?何時までもすごく切れていたら何も学ばないのでは?
ごめんなさい堅苦しく書いてしまいました、さ~っと流してください。

  • 2010-07-01(08:35) : 
  • 小嶋 URL : 

次の酔心夢工房研究所

諸先輩方のありがたいお言葉心いります。
本刃付けは究極の極みかもしれませんね。

ところで、酔心夢工房研究所の刃付け報告が滞っているように思うのですが
そろそろ結果出していただけませんでしょうか。
心待ちにしてます。

  • 2010-07-01(13:03) : 
  • ゲキ URL : 

Re: No title

コメントありがとうございます。

INOX本焼の本刃付け、気に入って頂けて嬉しく思います。

本刃付け、やはり使用状況によって異なりますね。。
最終的には、調理師さんが自分仕様にカスタムするのが一番だと感じてます。

包丁屋的な本刃付けは、調理師さんに渡ってから研ぎ易く(自分仕様にし易く)
なるように導く研ぎかも知れません!

しかしながら、ミラクルエッジをキープされていると言う事は、上田師範の
ハッピー包丁サイクルに入っているんですね!


Re: 私は単純に考えていますよ

コメントありがとうございます。

おっしゃる4つの研ぎが、それぞれの軸になりそうです。
包丁を使う場面も、それらの状況下だとも思います。。
(いつも僕の足りない説明に補足頂き感謝しております。)

制作側の話しですが、厳密には解りませんが、直刃ベタ研ぎの研ぎに対応しようと
鍛冶屋さんが鍛錬しているように感じています。

包丁にとって一番過酷な状況は、直刃ベタ研ぎで最も鋼材の性能を試される状態。
その研ぎを必要としている調理師さんが居る限り、それに対応出来る包丁にしなければデス。

そんな事を考えて作った包丁で、糸引きなどを入れだすと、とんでもなく長く切れる
包丁になってしまう事も多々ありで、極限の状態を想定する事で良い物が生まれるとは
思うのですが!!

包丁屋としては、全ての刃付けについて基礎的な知識を持っておくべきだと思っていて
その研ぎに最適な鋼材や鍛冶屋さんを考えて、求められる品質の包丁を提供出来る事が
最良だと今は思っています。

lovekidoldさんが初めて包丁を購入された際に出会った包丁屋さんのように、総合的に?
包丁をお薦め出来るようになれたら良いな~っと思っています。

料理人さんが、お客さんの体調をみて味を変えてゆくような魔法?を習得できれば!っと。。

もしかしたら一生かかっても無理かも知れませんが、10年後は今より前に進みたいです。

迷走していく事もあるかと思いますが、今後とも宜しくお願い致します。


Re: ちゃうで

コメントありがとうございます。

お久しぶりです。

小嶋さんのおっしゃる事、良く解ります。

全てお客さんの口に入る料理であって、食材の状態やお客さんの事を考え無いと、
とんでも無い事になると言うのも、最近上田屋さんに出入りするようになって、
調理師さんは考える事や気を配る事は沢山あるなぁ~っと感じています。

その状況にいつでも本気で向かうためには、包丁をバシバシにしておく臨戦態勢?や
全ての事に気持ちを入れる研ぎの時間などは必ず必要だと思っています。

ファミリーレストランでアルバイトで調理場に入っている方でも、時間を割いて
牛刀をバシバシに研ぎ上げて、向き合っている方が居るのを知っています。

包丁を見れば、その人の人となり?を見る事が出来ると聞いています。

どんな現場でも、どんな仕事を目指していたのか?どんな仕事をしてきたのか?
が解るのだと・・。。

包丁、砥石が形を変え無くなっていくのがいい。。これは以前、小嶋さんから教わりましたね。
この事は、今でもずっと考えの中にあって、その道を通って来た方や、これから包丁を使う方への
アドバイスをさせて頂く際にとても役立っています。

また、記事で思う事などございましたらコメント書き込み下さい!


Re: 次の酔心夢工房研究所

コメントありがとうございます。

諸先輩方からのお言葉には感謝の限りです。

酔心夢工房研究所、、滞っています。。
叩いて居ない包丁はグニグニです(^^; 
砥石を当てた時の鋼の艶なども色々あるのですが、早く結果を記事にします。

今しばらくお時間を下さい。

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