特集 酔心庖丁の選び方
酔心では本職用の庖丁一式を取り扱っています。
今回は皆様からお問い合わせが多い「庖丁ってどうやって選べば良いの?」
という疑問にまとめてお答えしました。
『調理師として、ちゃんと包丁に向き合って料理がしたい』
『水産加工業など、現場のことを考えられた庖丁が欲しい』
『本職ではないけれど、本格的な庖丁で料理がしたい』
このような想いで酔心を選んでくださるお客様が多く見られます。
酔心では、庖丁選びに悩みを持った皆様に丁寧に寄り添うことを心がけています。
本職の方でもご家庭の方でも、「選び方がよく解らない」という声が非常に多いです。
伝統的な調理の道具である庖丁。主に調理師の食への探究心に応えるため、鋼材も進化し、鍛冶師・刃研師・柄師たちも日々奮闘してます。
見た目が洗練された庖丁(墨流やダマスカスなど)が続々と登場している背景も相まって、選択肢が多くなっているのも悩みの種かと思います。
インターネットが普及し、情報が飽和的に皆様の元へ届く昨今ですから、余計に解らなくなってしまいますね。
酔心にご相談に来られるお客様に「おすすめってどれ?」と聞かれることがよくあります。
このご質問には、お客様ご自身が、
1.なんの食材を切りたいのか。
2.どんな切れ味を求めているのか。
3.どのような環境で使用するのか。
この辺りをお伺いすることが多いです。
さて、よく皆さんから寄せられるご質問を目次にまとめました。
ご自身のお悩みに沿って閲覧いただければと思います。
目次
はじめに。
さて、私が皆様にご提案するおすすめの庖丁を一言で表すならば、
「お客様自身がメンテナンスしやすく、扱いやすい庖丁」
といった表現になります。
あやふやな言い回しになってしまいますので、具体的に。
酔心には様々なお客様がいらっしゃいます。
皆様のお話を伺うと、それぞれ庖丁へ求めることが違います。
当たり前ですが、お客様一人一人 体格も違えば、手の形も違います。
切りたい食材も違えば、求める切れ方も違います。
使用頻度も違いますし、庖丁を研げる頻度も違います。
この違いに沿って、お客様が毎日ご使用になられてもストレスを感じない庖丁というのが、「おすすめの庖丁」となります。
その多種多様な選択肢に沿えるよう、伝統的な刃物の産地「堺」では職人たちが切磋琢磨し、我々庖丁店が皆様へ届けております。
庖丁は美味しい料理作りには欠かせないパートナー。
このページをご覧になった皆様が、納得のいく庖丁選びができるように誠心誠意お手伝いさせていただきます。
なにかご相談があれば、遠慮なくお問い合わせにてお聞かせください。
酔心お問い合わせ窓口
鋼材について。
酔心では、切れ味の指標を「食材への掛かり」「切り込みの良さ」で表現することが多いです。
鋼材が切れ味に影響するのは主に「食材への掛かり」の部分と言えます。
炭素鋼なのか、ステンなのか。
現在は砥石も良いものが多く開発せれ、ステン系の庖丁もグッと掛かる刃を研ぎだしやすくなりました。
酔心のINOX鋼のように、現場に寄り添った鋼材も多く生まれてきています。
それでも、やはり炭素鋼の「食材に噛みつくような」掛かりというのは、なかなか手放せないですね。
本格的な掛かりで鋭い切れ味を庖丁にお求めの方は炭素鋼。
砥石を揃えた上で、切れ味に多少目を瞑って「錆への強さ」をお求めの方はステン系の庖丁をご提案しています。
酔心で扱っている炭素鋼の鋼材は以下になります。
※写真をクリックしていただくと公式shop、名前をクリックしていただくと公式HPの各庖丁ページが新規タブで開きます。
白一鋼(伝承・各種本焼)
青SP.青一鋼(各種本焼)
日本鋼(酔心別上)
となっています。
ステン系の鋼材は、
銀三鋼(銀三鋼本霞)
INOX鋼(INOX本焼・Premium-INOX・酔心INOX)
V金10号(ダマスカス)
となっています。
各鋼材について深く知りたい!というかたは、
酔心特集第弌幕「白鋼のすべて」
これらの特集がオススメです。
各鋼材についてかなり深いところまで掘り下げた内容となっていますので、興味のあるかたは是非。
ここでは、お問い合わせの多い白と青について少し触れておきます。
白鋼なのか青鋼なのか。
永遠のテーマなのではないかと思います。
一言で表すならば「掛かりを求めるなら白、まったり長く切れるなら青」となります。
ですが・・皆さんが悩む通りそんな単純な話なわけもなく。他の要素も多様に絡んできます。
白鋼について
具体的に白鋼ならこの形というものを提示するならば、
出刃や薄刃、その他短い寸法の庖丁は白鋼を選択した方が良い結果になりやすいかと考えています。
上記の庖丁は、全て短い動きで食材に切れ込んで行って欲しい庖丁の種類です。
出刃は切っ先で皮にガイドラインを入れたり、刃元で頭を落としたりします。
その際に、長いストロークで切るというよりは、小さい動きで切っていく動きになります。
薄刃は桂剥きをする際、庖丁を小刻みに動かして切っていきます。
短い寸法の庖丁は言わずもがなですね。
240mmの柳刃で大きめの柵を引きたいとお考えの方もこの考え方になってくるかと思います。
「小さい動きで食材にアプローチをかけたい」
という状況が見えているお客様は、白鋼を選択されると使いやすさに繋がると思います。
青鋼について
青鋼は二つの見方をします。
一つ目は300mmの柳刃など、長いストロークで食材にアプローチをかけたい庖丁の形状で見た場合。
庖丁を長く使うことで、まったり丁寧に切る。
これにより細胞へのダメージを最小限にする切り方を狙っていくことができます。
もう一つが、本焼や蛸引・薄刃・蕎麦切り庖丁など、皆様がご自身であまり研ぎたくないタイプの庖丁で見た場合。
本焼は単純に硬く割れやすい(折れやすい)ので、研ぎの際には細心の注意を払わなければいけません。
時間がかかりますし、焦って研ぐとろくなことにならない代表格です。
薄刃や蛸引、蕎麦切りなどは刃に直線構造を持ち、特に先丸蛸引だと帽子の部分が研ぎにくいため、直線構造と合わせて研ぎだすのが苦手な方も少なくありません。
上記の庖丁のように「そもそも研ぐ頻度を減らす」為に青鋼をお選びいただくのは非常に有効な選択です。
ここまでが単純な白鋼青鋼の違いになります。
複雑・多様化していく部分のお話を一つだけ紹介します。
「尺の柳でまったり切りたいけれど、白じゃない方がいいの?」という疑問。
いずれの鋼材も、ちゃんと叩き締められて、中子までしっかりと造られた庖丁を比較をした場合、白鋼の方が手に伝わってくる刃先の情報量が多いとされています。
※使い手の感覚によります。
この情報量は庖丁の造り手(鍛冶屋)によって感じ方が違います。
この「感覚」のところまできますと、我々から「こうです!」と提示できる領域ではなくなってきてしまいます。
上記でお話した内容の総合的な評価を、お客様の感覚や研ぎ方、日常の使い方で決めていただかなければいけないからです。
庖丁からの情報量が多ければ多いほどよいとお考えの調理師の方はこの辺りも考慮して選んでいただけると、満足度の高い庖丁選びができるかと思っております。
和包丁の柄について。
柄と口輪は迷う、というよりは特徴に関するお問い合わせが多いので、各特徴を記載しておきます。
形状について
酔心では小判・栗・八角・六角半丸を主に扱っています。
それぞれの用途に合わせて見合う柄を付けています。
小判型は力が入れやすく、出刃によくつけられます。
栗型は栗の頭部分に指をかけて庖丁の角度を決め引きやすい為、柳によくつけられます。
八角柄は昔から「角度が決めやすい」との観点から本職の調理師に人気となっています。
どの形状の庖丁にも合わせられます。
六角半丸は酔心が調理師の為にオリジナルで考案した形状です。
柄上側は八角と同じように、角度を決め易いように角を残し、指が当たる部分は丸く削ってあります。
INOX本焼で採用している柄になりますが、その他の庖丁に六角半丸柄をつけてほしいというオーダーが数多くあります。
各形状でこのような違いがあります。
次は木材について。
朴
軽くて割れにくく、水に強いのが特徴で、使うたび手に馴染じんでいく木材です。
本焼きを使用している現場でも、「使用だけを考えるなら黒檀ではなく朴が良い」という意見も少なくありません。
堺では庖丁の柄といえば朴が基準になっています。
一位
朴よりも水に強く硬い木材です。
色が朴よりも濃く、高級感があります。
酔心では水に強いという特性を活かし、ステン系鋼材の銀三とINOX鋼には一位を標準でつけています。
黒檀
黒檀は木柄の中で最も硬く、水に強い柄です。
実際に朴と黒檀を比べるとわかりやすいですが、黒檀はほぼ水を吸いません。
よほどの事が無い限り購入した時の状態を保ちます。(角が丸くなる程度)
黒く重い柄のため、見た目の高級感は群を抜きますので、「高級感!」というカスタムが豊富な柄なのも特徴です。
価格設定を度外視して、見た目の高級感を追求した「銀巻き黒檀柄」というのがあります。
はっきり申し上げますが、本当に高いです。
黒檀柄を付ける庖丁は、そもそも刀身のランクが高く、庖丁そのものの寿命が長いものに使用されることが多いです。
酔心の本焼庖丁などは丁寧に叩き締めていますので、刀身がずっしりと重いので、重量のある黒檀でバランスをとるという背景もあります。
最近は黒檀も中々入荷できなくなってきています。
希少価値も上がってくるように思います。
次は口輪について。
水牛
酔心では白・黒・マーブル・人工象牙・上記のような銀巻きなど、幅広く取り扱っています。
白・黒・マーブルは天然物の為、写真のような、それぞれの風合いを楽しんでいただければと思います。
さいごに。
刃物の伝統的な産地「堺」で酔心が現場目線での探求を怠らず、日々修行を繰り返し、余すことなくお客様の要望を職人に伝え、鍛治師が鍛え、刃研師が研ぎ、柄師が柄を付けて庖丁は完成します。
私たちの想いは、皆様の庖丁への想いに支えられております。
皆様が庖丁選びに迷ってしまったら、遠慮せずにお問い合わせください。
酔心は1対1での製品造りを心がけています。
またお客様に満足して庖丁をご購入いただき、「酔心に任せて良かった」「これからも酔心に任せたい」と言っていただけるよう、常に向上心を持ってお客様と向き合っております。
皆様からのお問い合わせをお待ちしております。
「酔心お問い合わせ窓口」
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