本刃付けの順番
本刃付けする前に、どう研ぐか・どこを研ぐかなどを考えます。
いや、、考えていたつもりでした。
刃付屋さんが研ぎをする時、効率的な面もあって回転する砥石で研ぐわけです。
円で研ぐので、平面では研いでない事になります。そうすると、エクボなどが出来る。
このエクボを綺麗に取りたいわけですが、強引に取りに行くと形状が崩れたりシノギ筋が
壊れてしまう事が多いですし、だいたいそんな事になります。
今日、信頼する刃研師さんが会社に来た時、「この包丁、、研ぐのしんどそうですよね?」
っと、ある包丁を見せました。
刃研師: じ~っとみて 「そうか?そんな事ないやろ、、達哉君はどこから研ぐ?」
っと言われて、僕も切刃やシノギの具合を再チェック。。
達哉: 「ここから研ぎたいです。」
刃研師: 「そうじゃないんやなぁ~、、 俺ならココから研ぎ出して、ココとココ研いで、
この部分で、帳尻を合わせて一枚に仕上げるなぁ~」
達哉: 「???」
って事で、仕事を終えてから、それに似た包丁を本刃付けしました。
取り合えず、言われたように研いでみた。 やってみないと解らない!!
信頼している刃研師さんで、疑いは一切無いけど内心マジか??っと思いつつ。。
青一鋼水本焼と言う硬い鋼材だった事もあり、時間は掛かりましたが、刃研師さんが言う通り
包丁が、どんどん理想の形(シノギ&切刃)になっていきます。 マジでした。。。
結果的には、いつもと同じ仕上りになりましたが、仕上がるまでの時間や慎重な研ぎをせず、
自然体で包丁がパリっと研ぎ上がりました。 ピンスポットで狙った所を効率良く研ぐ!
まさに、刃研師さんならではのアドバイスであり、このお陰で階段を一気に5段ほど飛ばして
登る事が出来たように思います。 こんな事、、中々教えてもらえませんよ。。。感謝!
ちなみに! この刃研師さんが研いだ包丁は、あれこれテクニックを駆使しなくても、
ちゃんとシノギ筋は立つし切刃も当たってきます。 もちろん多少のエクボはあるけど、
教科書通りの研ぎで、バッチリです。。
この刃研師さんも、色々経験して調理師さんが考えて研ぐ事を軽減させる為に、工夫した
研ぎを考案したのだと思います。 それを研ぎ出すには、時間が掛かるようですが、調理師
さんが研いでいく時間の方が長い訳でもあり、日々研ぐ事を思えば、最高の基礎研ぎが
施されている事になります。
研いでみないと、切ってみないと、食べてみないと 解りませんね。。
お腹が減ったので、今日は早々に帰宅します。
- 2012-04-10