今日の研ぎ
仕事が終わってから、白一鋼本焼の本刃付けをしました。
これは商品ではなく、キズ物でして。
アウトレットにも出来ない、本焼を作る上でのリスクを背負った1本です。
本当なら、廃棄してしまうのですが、いくつか研ぎ確認の為に本刃付けをしてみました。
確認したかったのは、砥石と包丁を当てる角度(45°とか60°とか)による研げ具合。
それと、砥石と研ぎストローク幅によるアレコレ、指に穴が開かないように研ぐ方法の模索。
砥石と包丁当てる角度で確認したかったのは、角度を変える事で切刃の研げる場所が変わる?
のでは無いかと言う点。45°を軸として様々な角度で砥石に当ててみたりしました。
一定の角度で研ぐ方が、切刃の状態としては綺麗に仕上がるのですが、形状を維持する為に
は角度を変えて研ぐ事が必要な気がしていて、特に研磨力のある砥石を使う場合にコレが
重要なのかと。。。 荒砥、中砥で研ぎを入れる時は、角度ミックスで研がないとです。
ある程度、切刃の構造が整ったら、中砥などで一定の角度を保って研ぎ目を整える。
以下、写真は本焼ではありません。。
45°で研ぐスタイルです。一般的には、このスタイルを推奨していますが、
この状態で、研ぎ進むとシノギ筋付近から研げ抜けるケースが多いです。
いつかは、刃先まで研ぎが届くのですが、新品の包丁だと薄くなり過ぎる事がある。
「良くない!」とは言いません。 非常に安定した研ぎは可能です。
ただ、一箇所集中研ぎになり易い面もあったり、砥石が反り始めるとナチュラル
ハマグリになりやすいような気がします。切っ先から刃元まで均一に研ぎ流す事が
必要になるかも知れません。
それと、この研ぎ方で刃先を研ぎに掛かると指に穴が開きやすいイメージもあります。
右手の柄を持つ角度で刃先を当てる事が出来れば問題ないです(自分で角度調整する。)
指で研ぎたい所を押さえて研ぐスタイルだと、じわじわ血が滲む事があります。
60°で研ぐスタイルです。これは砥石と平行気味に研ぐ事になり切刃全体が研げてゆきます。
砥石と接する面が多いせいもあって、研げるスピードは遅くパリっとしたシノギも立ちにくい。
このスタイルで、刃先を当てにいくと、指に穴が開きにくい印象があります。
点よりも面で研ぐイメージがあるので、時間が掛かりますが、ある程度研ぎ抜けた包丁になれば
このスタイルがお薦めであります。 (仕上げ砥石だけでOKな状態になれば!)
どちらも良いメリットがあるので、この両方を研ぐ際にミックスして研ぐ事で均一で
素早い刃付けが出来るように感じています。
右手で角度を付けないで研ぎに掛かった際、45°だとシノギ付近から研げてくるように思う。
シノギ筋を立てる時は、この方法が良いですが、自然に刃先まで狙うには時間が掛かる。
しかし、歯肉の厚みを抜くには45°が良く切刃全体をスキっとさせたい時は、時間を掛けて
研ぎ抜くと良いと思う。 指先に穴が開く覚悟で刃先を45°で狙いに行くのも一つです。
60°だと切刃全体が当たるので、均一に研ぎを行い易い。どちらかと言えば仕上げ研ぎ向き。
しかし、ずっと45°で研ぎを入れてきて、仕上げ砥石で60°にするのも問題で、中砥石などで
研ぐ際も、偶に60°を入れると切刃が安定して、仕上げ研ぎに繋げやすい。 と思う。
45°とか60°とかわからん! と言う方の為に。。
45°の写真
砥石の角を使った角度の見方を。。。 そんなん知っとるわ~ と言われそうですが、
研いでいる最中に、この砥石の角と包丁の角度を確認しながら、研ぐと解りやすいです。
60°の写真 (本当に60°かどうか測ってません、だいたいの角度です。。)
だいたい、切っ先アール付近から刃が破れて切っ先の切刃幅が狭くなるかと思います。
45°で研ぎを入れてると、切っ先アールを研いで破ってしまう。。
切っ先アールの研ぎ方を実戦しても、あの出っ張り(アール)は凄く意識しないと自然に研げてしまう。
そんな時、60°で当てていると、破れにくかったり、写真の切っ先部分の切刃幅を研ぎ出す時にも便利。
60°で研ぐ時は、「突く」などど表現したりします。 砥石と平行に研ぎ出す感じですね!
文章だけでは、解りにくいので今度軽い動画でも紹介できればと思います。
では、良い3連休を!!
- 2012-07-13
No title
この研ぎの角度の問題、まさに同じ意見です。こうしないと刃先側は苦しいです。それでも刃先の最後10mmぐらいはもう一つ注意がいるんで困りますね。
私はごまかしに備水の面に青砥の砥泥をなじませて濃い曇りを地金に出してごまかしてます。割りときれいに仕上がりますよ。
- 2012-07-14(07:44) :
- バラ URL :
Re: No title
コメントありがとうございます。
この研ぎ角度については、結構気が付かれている方が多いと思っていますが、
一度記事にしてみました。 一般的な教科書(専門書)通りに研ぎ行うのも
間違いでは無いのですが、必ず辻褄が合わなくなりますね。。
切っ先の10mm辺りは、別に研ぎ方があります。
これは完全に砥石に当てに行かないとダメなんで、勇気も必要ですw
天然砥石は、良い感じに誤魔化しを作れますね~
ダイヤ+人造砥石だと、逃げ道無しデスw
- 2012-07-18(19:36) :
- TATSUYA AOKI