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グレを捌いた

先日、父親が釣ってきた、グレ(メジナ)を捌きました。

長い系(鯵、ハマチ、スズキ)を捌く機会が多く鯛系を捌くのは恐らく
上田屋にて出刃を激しく欠かせた以来の挑戦であります。

40cm近いのが2匹居たので、1匹は腹背背腹の方法でやってみました。
いつもながら片面は上手く出来るのですが、逆面が何とも難しい。。。

しかしながらアラ炊きして骨に身が少ないと思える状態には捌く事ができました。

もう一匹は、腹側から攻めて行く方法(腹骨クキクキ?)でやってみました。
グレの骨って柔らかいですね・・・。鯛とは全然違う。。。
しかし慣れない事はしない方がよろしく、、妙な部分をプスプス切っていました。

なんとか三枚にして、腹骨を透いて渡して皮引きまで出来ました。
グレ、、磯っぽい香りが苦手だったんですが、皮を引いたら匂い軽減!!

今回は、INOX本焼の「出刃」と「うす引」で調理しました。

これだけだと、捌き日々修行で終わってしまうのですが、、今回は師範に頂いた
木製まな板ではなく、家庭用の硬いポリまな板を使って捌きを行ってみました。

イタリア奮闘中団長より、まな板と庖丁の事について伺っていた事もありの体感です。

まず、硬いまな板の方が良く効きます。出刃での感想ですが、ダンっと行ってサクっと
離れるような感じです。よ~く切れるように研いでいるので、切れて当然なのですが、
力が逃げないといいましょうか・・・。 芝生の上にじゃなくコンクリの上になイメージです。

適度な硬さが必要なのでしょうが、行き止まり感のある感じを凄く受けました。
アラ炊き用に、ヒレなど落とすためにバンバンやりましたが、「もうアカンか?どうや?」
そんな気になるような使用感でした。庖丁がINOXであった事、出刃は強度に比重を置いて
研いだ事もあり欠けたり刃が弱ったりしませんでした。

このまな板でギンギンに研ぎ上げた柳刃などを使い、ガンガン刺身を引いたりすると、結構な
ダメージを庖丁は受けそうです。 本職用だと、そんな簡単に弱りませんが切れ味を落とす原因に。

そのように研ぎ上げた庖丁でも、まな板に当たる時には力を抜く、庖丁を止める!などなど
調理師さんの技術によって回避される事もあるかと思いますが、ガンガン行きたい方は、
糸引で強度UPさせる、良質のまな板を使う、INOX本焼などの新素材鋼材で作られた包丁を
使うなどが、良いかも知れませんね。。

そう考えると、木製まな板、鋼で直刃に研いだ庖丁、などなど昔からの流れを思った時、
全てに意味があったのだと、それぞれが機能していたのだと思い知らされます。

  • 2010-05-13

色々思い出しました

 メジナはやはり晩秋から冬にかけての方が磯臭さもなく、ボラと同じく美味しい魚ですね。東京湾も今ではだいぶ水質改善がなされて来たようで、スズキもひどく油臭いものは少なくなって来たように思います。これから暑い季節に向かって美味しくなるのは何と言っても房総のイサキですね。腹のパンと張ったやつなどは、三浦の佐島の桜鯛より美味いんじゃあないかと思う時がありますね。
 腹背背腹ですね。背腹が難しいですか。出刃の切っ先で中骨の当りを感じながら尾から頭に向けて出刃をピタッと平行に押さえる感じで引き切ると、上身は切り離せると思いますよ。腹から攻めるのならば、出刃の切っ先を思いっきり立て気味にすると、面白いように腹骨がピピッと切れると思います。これを覚えると二尺の真鯛だろうがヒゲダラだろうが難なく捌けるようになると思います。

 真名板に関しては、私にとってトラウマになった思い出があります。今から三十年以上も前の事になりますが、まあ、年寄りの愚痴くらいに思ってください。
 その当時仕えていた私の親方の命令で三ヶ月ほど関東のとある旅館に、私は助仕事に出された事がありました。まあ、その頃の私は店で2.5番手くらいのポジションで、いっぱしの板前気分で自信に満ちはじめていた頃でした。いわゆる、天狗になり始める当たりの若さというやつですね。
 で、その旅館というのが、食中毒をだして以前に営業停止をくらった所だったんですね。それにともなう経営者と板長一派とのすったもんだがあって、ご多分にもれず板長サイドが総上がりになったと言うわけです。
 食中毒という手痛い経験を食らったが故に、経営者側は衛生管理にもの凄く神経質になっておりました。真名板が全てプラスチック製でした。私はそれまで木製の真名板でしか仕事をしたことがありませんでした。私ばかりか、私の親方までもが、糸引き刃はもちろんのことはまぐり刃の存在すらその当時は知りませんでした。信じられないかもしれませんが、その当時の関東の日本料理屋なんてそんな状況だったように思います。要するに、べた研ぎ一枚刃原理主義者の集団そのものでした。そんな包丁で、百人前位は当たり前のお造りを引く日々を送った訳です。

 悪夢でした。十人前引くかどうかで、切れ味が鈍くなりました。包丁に気を取られるとスピードが遅くなります。それでは、忙しさで戦場になっている状況にはとても間に合いませんから、最終的に何をしたかというと、手持ちの正武、柳、蛸引き五~六本を目の前に並べて、切れ味が悪くなったらとっかえひっかえ包丁を換えて何とかこなしました。いや、ごまかしたと言った方が正解でしょうねえ。

 でね、その時思い知ったのが、自分の親方の「お前は、まだ腕力でものを切っている。力を抜け。包丁に寄り添え。」と言う、意訳するとそんな感じになる言葉でした。もう、天国に逝っちまったけど、あの人なりに自分の事を気にかけていてくれたのかなあと、今の私は思っています。

 そんなこんなで、お上の言いつけで、プラやもっと性能の良い合成樹脂の真名板を使わざるを得ないし、現実そうなのですが、私は今でもこいつらが嫌いです。 


Re: 色々思い出しました

やっぱり、食材には旬がある!って事ですね。
ある調理師さんから、「冬のメジナはメチャクチャ旨いで~~」っと聞いた事があります。
魚が食べてる餌も関係してきそうですね。
いずれにせよ、その時の魚の旬を沢山知っていて、それを更に生かす調理方法を知っている
事?経験や知識?は、調理技術と比例するように思います。

アレコレ知っていないと作れない、知ってても技術が無いと作れない!!
美味しい物を食べたければ、経験豊富な調理師さんに「おまかせ!」が良いかもです。

腹背へのコメントありがとうございます。
昨日、上田屋にてカツオとサバを捌かせていただきましたが、その際、模範捌き頂いた
上田師範の庖丁動きと頂いたコメントを照らし合わせながら見ました。

人それぞれの動きがあると思うのですが、キモとなる事?必ずしなければならない
仕事は同じような事でした。 さて、自分が出来るのか??? 
想像するのと実践するのは違いますが、目指す事柄は見えてきたので沢山捌いて行こう
と思います。

まな板へのお話もありがとうございます。

頂いたお話は、上田師範から、また刃付け職人さんからも聞いた事があります。

まな板の前で寸止めする庖丁使いを駆使して刺身を引かれる方も居られるようですが、
戦場のように忙しい状況では、ストレスになるかと思います。。。

そうなると、結局最後にまな板を切る事になってしまう=刃にダメージを与える。

今、それを考えた上でしっかりと対応した炭素鋼系和庖丁シリーズを組み立てています。
時代の流れに、沿うために生まれた庖丁です!!

しかしながら、庖丁の使い方、切り方、力配分などは、奥深いですね。。
まさに、この事を昨日感じて来てました。。 本編ブログでご覧いただければと思います。。

  • 2010-05-16(20:09) : 
  • TATSUYA URL : 

御免なさい

 腹背背腹で書き間違いがありました。背腹で「尾から頭に向けて」は「頭から尾に向けて」の間違いです。誤解を与える書き間違いをして申し訳ありませんでした。


Re: 御免なさい

コメントありがとうございます。

「出刃の切っ先で中骨の当りを感じながら出刃をピタッと平行に押さえる感じで」
っと言う所に意識が行ってました!!

出刃の切刃を平行に押さえる感じですよね。。。
どうも、、裏面を平行にしちゃうクセがあるようで・・上身を削るようです。。
今度は、もっと意識してやってみようと思います。

今朝、イタリアより電話?スカイプで連絡があり、話の流れから「逆捌きもエエで!」
っと聞きました。 背腹腹背? A面からじゃなくB面からやってみたら~っと。。
基本では無いけど、やってみたらっとご意見頂きました。

lovekidoldさんも含め、様々な方からご意見を頂けて幸せです。
いつもありがとうございます。

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