1. HOME
  2. 日々修行
  3. 日々修行
  4. 研ぎの流れ

研ぎの流れ

久しく更新が滞っておりました。。 僕は元気ですw

さて、新品の庖丁を本刃付けする時のアレコレです。

新品の庖丁を研ぐ時、どこから研ぐか!
闇雲に砥石に当てて、ベタ~っと当たる庖丁は、まず存在しないです。

庖丁と言うのは平面ではなく立体です。しかも思っているより複雑。
蛸引や薄刃などは、簡単そうに見えるのですが、これらが一番難しくて
夜寝れなくなるぐらい悩む事もしばしば。。。

これが絶対だ!と言う訳ではないのですが、有効な研ぎの流れを記事にします。

柳刃庖丁の場合、僕は取り合えず切刃全部を軽く中砥石に当ててみます。

これで、切刃の状態を確認します。 (エクボの位置などなど)

なぜコレをするかと言うと、目で見ているだけでは解らない部分があるので、
実際に当てて、確認をする事にしています。

確認後、どこをどのように研ぐかのプランをある程度立てて研ぎ始めます。

ざっっくり分けて、切っ先から切っ先アール付近、アール付近から刃元の
2つに分けて考えていくのですが、順序としては切っ先アールのシノギ筋を
立てにいきます。

シノギ筋を立てる時は、絶対に平面の砥石で行わないと、綺麗に出せません。

この時、切れる刃先が砥石に当たっていなくてもお構い無しです。
取り合えず、シノギ筋をしっかり立てる事が出来れば、あとは時間との勝負!

次に、刃元までのシノギを立てに行きます。(この時もシノギだけ狙う!)

刃元から先までのシノギ筋を均一に整える事が出来てから、切刃を研ぎに掛かります。

だいたい、切っ先付近と刃元にはエクボがあります。

切っ先付近のエクボは確実に取りたいので、研ぎ取っていくわけですが、エクボの回りを
グシグシ研ぐと、いずれ刃先に影響が出てきて、刃が薄くなり過ぎてツル首になろうとする
事が多いです。

この部分のエクボは研ぎ取る方向があって、切っ先側へ研ぎ抜いていきます。
場合によっては、切っ先のシノギ筋を少し上げる事も必要になります。

切っ先アールも切っ先側へ研ぎ抜くイメージで研ぐと、形状が変わりにくい。
(それでも、研ぐと切っ先アールを無くそうとする庖丁が多いかも。。)

一番ややこしい切っ先アール付近をクリアしたら、あとは、刃元までをグングン研いで行く
ハマグリチックにするのか、ベタにするのかは、好みの問題です。

感じるか感じないか程度に反った砥石で研いだナチュラルハマグリがベターかな。。。。
カンナみたいに超ベタにすると、庖丁として成立しないとの意見もありますし、砥石と
直角に庖丁を当てない限り、若干のラウンドは切刃に出ているのかもデス。。
これは、使い手によって色々なので、本当に好みの部分が多い!

さて、刃元に残っているであろうエクボはどうするのか?

お薦めするのは、無理に研ぎ取らない事です。本刃付け依頼されても、だいたい無理に
取らず、購入される調理師さんが、日々の研ぎで取れると思われる程度で止めます。

しかし、どうしても取りたい場合は、刃元の方へ研ぎ抜いて行きます。
ちょっと、刃元にダレる感じになるのですが、一番大切にしたい部分(刃元1寸から上)を
守る為には、この方法が安全牌です。

これらで、ある程度基礎が出来たら、中砥石を面直しして切っ先から刃元まで研ぎ込んで
行きます。 シノギが決まっているので、切刃の刃肉調節や刃の薄さ調節の部分です。
この辺りは、単純に研ぎ込んで行くだけで時間が最も掛かるように思ってます。

僅かにカエリが出る位で止めた方が良いかも。。僕は、中砥石で極力”カエリ”を出さないように
研ごうと思っています。 カエリを出した方が早いんですけど。。新品の幅で研ぎを終えたいから。

研ぎの最中にカエリが出てしまったら、平面の砥石で裏押しを行っています。
中砥で出たカエリは中砥で取るのが良いですが、反っていると裏刃に悪さをします。
なので、中砥のウラ面を裏押し用に慣らして置くのも良いかもです。

中砥である程度研げたら、あとはお好みの仕上げ砥石で切刃を研いで行きます。
カエリが出たら、仕上砥石で裏押し! 仕上げ砥石を使い出したら中砥石で裏押しは☓

刃先の薄さなど、最終微調整は仕上げ砥石でじっくりと行ないます。
中砥でやると知らない間に研げすぎたりするので、、、特に最近の新しい砥石は研磨力がある
ので、気が付いた時には、遅かったりします。。。

糸引きを入れる場合は、本当の最後に仕上で研いで仕上で裏押し!

文字ばっかりで読むのがしんどい記事ですが、僕の研ぎの流れです。

良い庖丁を買えば、中砥石を使うのは初回本刃付けと刃肉が厚くなった時だけで済みます。
ほとんど仕上砥石で刃が戻るように思います。使用頻度や使い方によってはこの限りでは無いですが。

仕上げ砥石で戻る!と言うのは、切れ味が中砥石で研ぐまでに落ちない事を意味しています。
ある一定のラインを超えると、中砥を使わなくてはならないのですが、一定ラインを超えなければ
仕上げ砥石で大丈夫!

ちなみに、白二鋼、白三鋼辺りは、中砥に戻る必要があると感じています。

それでも、上記に書いたようにシノギ筋を先に出して置けば、後々の研ぎは楽になります。
シノギ出しは自分自身で研ぐラインを形成する作業です。

長くなりそうなので、ここの辺で。。。  ←十分長いw

  • 2012-05-22

関連記事

過去記事